No.0303
(酬恩庵一休寺)

今日のテーマは

『上方落語巡礼記』


今回紹介する上方落語に縁の地は。


「愛宕山」


今回は100回記念の最終回です。


『愛宕山』


京都の室町あたりの旦那が

「時候もえぇ、一つ野掛けをしょ~やないか」

ということで、愛宕山のやっと二十五丁目の茶屋へ到着する一行。

旦那が茶屋でかわらけ投げを始めましたが、

そのうち持ち合わせた小判を撒き始めました

。。。。。。


一八

「え?”拾ろたら拾ろたもんのもん?”」

旦那

『そや』

「わたいが拾ろたら?」

『そらお前のもんや。』 

 「さ、さよか。わたいが拾ろたらわたいのもん、こらありがたい……、が、届かん……」


『当たり前じゃがな、届くねんやったらみな拾らうがな。届かんさかい散財や、行こか!』

「待った、待ったぁ!見えてまっしゃないかいな、わたいが取ってくる!」


『お、こらオモロイ!。さぁ、どないして取ってくる。 』

 「待ってとくなはれや……。お、お婆ん!」

茶店の婆さん

《何でございますかいなぁ?》

「この下へ降りて行く道はないか?」

《へぇへぇ、年にいっぺん、的を仕替えに行く
道が梅ケ畑のほぉから……》


「そら、えぇ道かえ?」

《コケ道じゃ》

「ほぉ、苔が生えてんねんな〜」

《ひょこひょこコケル道。 》


「何も出ぇへんかい?」

《何も出やせん。まぁ熊か狼のほかは……》

「それだけ出たら十分やがな……、どないかして下りる……、

んッ? こらまた大きな傘やなぁ。

お婆ん、これちょっと借りるで!」

《そら、下の花屋さんに返さないかん傘じゃで……》


「何言ぅてんねんなお婆ん、わしがちょっと下へ降りて小判取ってきたらやで、こんな傘、二十本も三十本も返したるがな。 

 

こら大きぃわい……、どぉです皆さん、こんなえぇもんが手に入りました。
昔から言ぅ清水の舞台飛び、わたいこの大きな傘で今からフワフワ~ッと降りて行って小判みな取ってきます。

あとで「一八っつぁん一枚だけおくなはれ〜」てな情けないこと言ぃなはんなや。

わたいがみな取ってきまんねんさかい…… 

(崖から覗き込んで)

高っか~~ッ……💦、と、飛びまっさかいな……、あっ、足が動かん……、目ぇつぶって飛んだろ……、いよっと!、

上へ飛んでどぉするねん……、そや、走って来たろ……、(トットットッ)うッ、ここまで来たら目が開くなぁ……💦
ちょっと飛んだらえぇんやけどなぁ……、な、何とか飛べんかいなぁ……、人間、一生にいっぺん思い切らんならん時があるっちゅうけど、何とか飛べんかいなぁ…… 」


 『おい茂……、茂八』

へい

『一八の背中、ポ~ンと突いてやれ!』

だ、大丈夫ですかいな?

『あれだけ大きな傘持ってたら大丈夫やろ、ケガはするかも知れんけど、命に別なかろぉ。あとはわしが請合うさかい、ポ~ンと突いてやれ』

さよか、ほな……


おい、一八、飛びたいか?

「……、と、飛びたいなぁ」

ホンマに、飛びたいか?

「……、ホンマに、飛びたい!」

そない飛びたけりゃ……、それッ!

𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃


𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃


『と、飛びよった。飛びよったで……。オ~~イッ、一八ぁ~~ち!(*」´□`)」』

〈一八兄さぁ~~ん。\(´O`/) 〉


 (ふぇ~~~ぃ)

『飛んだかぁ~~~?』

(ふぇ~~~ぃ)

『ケガは無いかぁ~~~?』

(ふぇ~~~ぃ、ケガはどこにもございませぇ~~ん)

『金は有るかぁ~~? 』


「金? そや、金カネ、有る有る有る……、有ったぁ~、ひぃふぅみぃ……まだ足らんで……、木に引っかかってるがな(キンコロカ〜ン)……、二十枚、確かにございましたぁ~~」


(それみな、お前にやるぞぉ~~)

「おおき、ありがとぉ~~!」


(どないして上がるんじゃ~~い?) 

 

「わ、わ、わぁ~ッ、上がるときのこと考えてなかったがな、どないしょ~ 💦」


(オオカミに食われてしまえぇ~。

ほな、さいならぁ~~)


「ちょ、ちょっと待っとくなはれぇ~~💦」

 何を思いましたか、苦し紛れといぅのは思わん知恵の出ますもんで、着物をパッと脱ぎますといぅと腐っても太鼓持ち、下には別染めの長襦袢でございます。

横糸を外しますといぅと、これをばツ~ッ、ツ~ッ裂きだした。裂いてしまいますといぅと、それで縄を綯(な)いだした。

 綯(の)ぉては継ぎ足し、継ぎ足しては綯い、長い長い絹糸の縄を綯い上げますといぅと、縄先に手ごろな石を括りつけてビュ~ン、ビュ~ン振り回しだした。

 あの辺の谷間(たにあい)には「嵯峨竹」と申しまして太い長い丈夫な竹が生えております。この一本をめがけましてポ~ンと投げ付けますといぅと、うまい具合にクルクルクルッ。

 竹の先にかけた縄をばキ~リ、キ~リ、キ~リ、キ~リ、十分にたわめといて地面を一つポン。蹴りますといぅとツ、ツ、ツツ、ツツツツ~ッ…… 


~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「へ、旦さん、ただいま!」


『上がって来よったがな!

えらい男やなぁ……、で金わ? 』


「あ……忘れてきた。」


。。。。。。


えぇ〜( ᴖ ·̫ ᴖ )いかがでしたでしょうか

「上方落語巡礼記」100回記念もこれで終了です‼️

以前のブログでも書きましたが、

落語には強力な「忘れスイッチ」が生まれつき備わっているかのようなキャラクターが存在します。

代表的な太鼓持ちが「一八」です( ᴖ ·̫ ᴖ )。
旦那と行動を共にしていて、辛い目によくあうのが特徴です。

しかし、悲壮感がまったくありません💦。


起こったばかりのトラブルを、即忘れる能力に長けているからでしょう(笑)。 


 つまり、ストレスが多い状況において「忘れること」とは心を守る能力たり得るのです。

٩(๑>∀<๑)۶



これからも「上方落語巡礼記」よろしくお願いしますm(_ _)m

長々とありがとうございました!(´▽`)


(☆写真は一部お借りしてます)

ではまた次のブログでお会いします