No.0291
(酬恩庵一休寺)

今日のテーマは

『上方落語巡礼記』


今回紹介する上方落語に縁の地は。


「愛宕山」


実は、『上方落語巡礼記』もこの話で100回目になります٩(๑>∀<๑)۶。

随分書きましたね〜...( = =) トオイメ


今回は100回記念をしようと思ってますが……。何しようかな〜(笑)

検討いたしました結果、皆さんにお馴染みの噺に致しました。(「ちりとてちん」などで……)


文字起こしにしましたので、複数回に分けたいと思います💦

今日はその初回です( ᴖ ·̫ ᴖ )


。。。。。。


『愛宕山』


大阪ミナミの一八と茂八といぅ二ぁりの太鼓持ちですが、二人仲良ぉ御茶屋をしくじりまして、つてを頼って京都祇園町で働いてたんですが、今日しも室町あたりの旦那


「時候もえぇ、一つ野掛けをしょ~やないか」


野掛け、山行き、アウトドアーでございますなぁ、外で遊ぼぉといぅわけで芸者、舞妓、太鼓持ち、皆引き連れましてポイッ、表へ出てまいります。

。。。。。。


祇園町を出て鴨川を渡り西へ西へ、堀川も打ち過ぎまして二条のお城を後目(しりめ)に殺し、ドンドンドンドン出てまいりますといぅと野辺へかかってまいります。


何しろ春先でございます、空にはヒバリがチュ~チュ~とさえずっていよぉか、野には陽炎が燃えていよぉかといぅ。

遠山に霞がたなびぃてレンゲ・タンポポの花盛り。

麦が青々と伸びた中を菜種の花が彩っていよぉといぅ本陽気。

その中をやかましゅ~言ぅてやって来る、

その道中の陽ぉ気なこと……


ハメモノ♪♪♪♪♪『扇蝶』


一八

「もしもし、も~~し、旦那ぁ、ちょっと待ったげとくなはれ。女ご連中遅れてまんねやがな。も~~し、待っとくなはれなぁ……。

早よおいなはれ、早よ早よ!」


舞子さん

〈そない先さき行かれたら、付いて行かれへんわいなぁ、もっとゆっくり歩いとぉくなはれな。 

なぁ、ちょっと待っとくれやすな〜〉


「さぁ、早よおいなはれ」


〈なぁ、一八っつぁんわて、蝶々(ちょ~ちょ)捕まえて欲しぃのん〉

「蝶々?そんなもん捕まえて、どないしまんねん?」

〈蝶々捕まえてもろたらな、髪の毛一筋外して、それへ括ってこの辺飛ばしもって歩こと思て。〉

 

 「何と女ごっちゅうのは惨(むご)たらしぃこと考えるなぁ。止めとき可哀想に。あんたかてそやろがな、縄で括られてその辺引きずりまわされたらカナンやろ。

蝶々かて生きもんや、止めときなはれ」

〈旦さん、一八っつぁん蝶々捕まえてくれはらへ〜ん。〉


旦那

 『やかましぃなぁ……、一八、子どもが言ぅてるんやないか、捕まえたらんかい!』

「さよかぁ……、分かりました、捕まえたげまんがな。いてたら捕まえたげる」

〈よぉ~さん、いてるえ〜〉

「どこに?」

〈その辺、蝶々だらけ〉

「ホンに、黄色い菜種に黄色い蝶々が紛れてるさかい分からなんだんやがな。ホンマによぉ~さんいてるなぁ。

 やかましぃ言ぃなはんなや、捕ったげまんがな……、

♪蝶が菜種か、菜種が蝶か……、わたいら、子どもの時分からこんなん得意でんねん、じき捕まえたげまっせ(ク~ルク~ルクル……)」


〈トンボと違うえ?〉


「分かってまんがな!
こないしてたら蝶々がどない思う?

”あぁ、この人トンボ捕まえはんねんなぁ”

と安心してるところを……、ほぉ~れ逃げましたやろ。 

 それッ……、よいしょ……、いよッとせぇ。

わ、わ、わぁ~ッ、犬の糞つかんだ〜!」


『何をすんねやいな、お前わ。そこの小川で手ぇ洗いなはれ』

「えらい目ぇに遭ぉた〜。しかし旦那、こないだの八卦見当てよりましたで」

『何がや? 』

「”お前の手はババつかみや”っちゅうて」

『アホなこと言ぅてんのやあらへんがな…… 』


 「ところで旦那、今日はどこ行きまんねん?」

『”どこ行きまんねん”て、分からんと付いて来てんのかいな。今日は愛宕さんへお参りをすんねん。愛宕山へ登ろと思てな』


「ほぉ、山行きでやすか?」

『そうか!こら気の毒なことしたなぁ』

「何が? 」

 『京の人間は山には慣れてるけど、大阪もんは山に弱いさかい』

「何で?」

『大阪には山が無いさかいな』

「アホなこと言ぃなはんな。大阪にかて山おますがな」

『大阪に山あるかい?』

「おまっしゃないか。天保山、真田山、茶臼山……、みな険しぃ」

『何の険しぃ。あんなもん山やあれへん、あら地べたのニキビや。 』


「ほな、京都に山おますか?」

『京都はどっち見ても高い山ばっかりや。東山、西山、比叡山、鞍馬山、愛宕山。みな高いがな』

「愛宕山っちゅうのんどれでんねん?」


『目の前やがな』

「目の前……、おッ!Σ(゚д゚;)」

『見ただけでビックリしてんのん?』


「何じゃいな、これですかいな。

た、大層ぉに言ぅさかいどんな高い山かいなと思いましたがな〜。

(ง `▽´)╯ハッハッハ!!

これ一つだけでっか? 二階おまへんのん? しょ~もない、二つ重ねといてケンケンで上がったる。 」


 『ほぉ~、えらい勢っきょいやなぁ。二人とも大阪の人間やさかい心配してやったけど、心配要らんなぁ。

みな荷物やなんか持ってもろたらえぇで!』

「持ちまんがな、かしなはれ。お弁当? 分かりました、ここへこぉやって掛けときますわ。ほな行きまひょか、どぉぞお先。 」


 『ほな、一緒に行こか』

「あんたらと一緒に行けますかいな。あんたら皆でボ~チボ~チ行きはったらよろしぃねん。えぇかげん行きはったとこで、わたいらシュッ
と追い付きまっさかい」


『こない言ぅてるさかい、先行こか』

〈ほな、このへんから坂が急だっさかい、みな裾からげなはれや。よろしぃか、行きまひょか。〉 


 ごぉ~じゃごじゃ、ごぉ~じゃのあとに、誰が付く……


ハメモノ♪♪♪♪


。。。。。。


えぇ〜( ᴖ ·̫ ᴖ )いかがでしょうか

やっと愛宕山の麓まで来ました!

NHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」(2007年)でヒロインが最初に聞いた落語として重要な役割を果たしているのが「愛宕山」です。


愛宕山は京都市街を取り巻く山の中で、比叡山と並びよく目立っています( ᴖ ·̫ ᴖ )

標高924m。

とてもケンケンでは登れません(笑)

(嵐山渡月橋と愛宕山)

一八や茂八は太鼓持ちで登場しますが、いわゆる「幇間(ほうかん)」です。

宴席で接待する側とされる側の間、お客様同士やお客様と芸者の間、雰囲気が途切れた時楽しく盛り上げる方向につないで行く間などを助けて、楽しく充実したお遊びになる様に持って行くのが幇間業、則ち「太鼓持ち」です。


米朝師匠によれば、旦那は「金持ち」、幇間(ほうかん)は「太鼓持ち」です(笑)。



(☆写真は一部お借りしてます)

ではまた次のブログでお会いします