No.0229
(酬恩庵一休寺)

今日のテーマは

『上方落語巡礼記』


今回紹介する上方落語に縁の地は。


「神泉苑

久しぶりに京都です。( ᴖ ·̫ ᴖ )

「神泉苑(しんぜんえん)」と読みます。

京都の神泉苑は、歴史の古い由緒あるお庭です。

大阪の「阪町」で紹介した『口合小町』に、この神泉苑で小野小町が雨乞いの歌を詠んだ故事が出てきました。


二条城の南、押小路通と御池通の間に位置します。



神泉苑は約1200年前、平安京遷都とともに桓武天皇がつくった禁苑(天皇のための庭園)です。

現在は当時の十数分の一しか残っておらず💦、弘法大師を本尊とする東寺真言宗の寺院になっていますが、文化財としては平安京最古の史蹟として国の指定を受けています。


今日の落語は、先般の「桂雀々独演会」で演じられた話です。


。。。。。。


『田楽喰い』(ん廻し)


若い連中が兄貴分の家で菰かぶりの一斗樽の酒にありつく。

兄貴分は横丁の豆腐屋が田楽屋を始めたので開店祝いに焼け次第、どんどん持って来いと注文したと言う。

すぐに焼けた味噌田楽がどんどん届きだした。


若い衆

「おおきに……」

兄貴分

『ちょ、ちょっと待った。ワッと手ぇだしなっちゅうねん。

こないしてぎょ~さんおでん並んだぁるねんさかい趣向して喰お』

「「趣向」ちゅうたら?」

『田楽ちゅなもんは「味噌を付ける」とか何とか言ぅてな、あんまり験(げん)のえぇもんやないさかい、ひとつ運が付くよぉに「ん廻し」ちゅうことやろっちゅうねん。』


「「ん廻し」て何やねん?」

『「ん」っちゅうのん一つ言ぅた ら一本取んねや。おまはんからやり』

「つまり「ん」と言ぅたらえぇ?」

『さぁ「ん」と言ぅたらえぇ「ん」の付くこと何なと言ぅたらえぇねがな』

「わて、よぉ言わんわ……、はい一本」

『待ったぁ~、言ぅてから取りぃな!』

「今、言ぅたがな」

『えっ?』

「「よぉ言わん」ちゅうて「ん」入ったぁる。」


『あぁ「よぉ言わん」で……、そぉか一本持っていけ。次、つぎ』

「ほんだらわたしは「蓮根」と二本もらいまひょかなぁ」

『うまいなぁ「れんこん」次は』

「「人参大根」と三本いただこ」

『なるほど、次、喜ぃ公お前やれ。』


「青もんを言ぅたらえぇねやなぁ」

『何でもえぇねやがな、青もんでも魚でも』

「人参大根なぁ……、ほな、あの「胡瓜ん」」

『そんなもんあれへん「きゅ~りん」ちゅなもんあるかい』

「なすびん」

『無いっちゅうねん。』


「玉葱ん、根深ん、小芋ん……、無いなぁ」

『無いもんばっかり選(よ)ってんねやないかお前』

「えぇ~……カボチャん」

『不細工なやっちゃなぁ、カボチャまで言ぅたらほかの言ぃ方があるやろがな』

「えッ? カボチャのほかの言ぃ方……「唐茄子ん」」

『持って回ってあんなこと言ぅてるで、常に言ぅてる言葉があるやろがなっちゅうねや。』


「カボチャ……、あッ!「南瓜、なんきん」もぉナンキン思い出すのに難儀んした!」

『シャレだけは言えたぁるんや。二本取るのに汗かいてるがなあいつ。おい、次は?』


「「てんてん天満の天神さん」と六本もらおか」

『みてみぃ、二本で汗かいてるやつがあるかと思たら、サッと六本持っていきやがったがな。次は?』


「えぇ「本山坊(ぼん)さん看板ガン」と七(ひち)本や」

『それ、何のこっちゃい?』

「いや、本山の坊さんがな、看板に頭ぶつけよったんやなぁ、本山坊さん看板ガ~ンと、七本もらお」

『うわぁ~ッ、七本持っていきよった……、次は?』


「次はわしや、芝居でいくで」

『何でもえぇねがな』

「えぇ「千松死んだか千年万年、辛苦艱難先代御殿」と十一本もらお」

『うまいなぁおい「先代萩」の御殿場や

「せんまつしんだかせんねんまんねん、しんくかんなんせんだいごてん」てな、しゃれたぁるがな……。おい次は?』


「よぉ聞ぃててや

「せんねんしんぜんえんのもんぜんのやくてん、げんかんばんにんげんはんめんはんしん、きんかんばんぎんかんばん、きんかんばんこんぽんまんきんたん、ぎんかんばんこんげんはんごんたん、ひょ~たんかんばんきゅ~てん」

と四十三本もらおか。」


『ちょっと待ったぁ、何を言ぅたんや今お前。そら無茶苦茶言ぅたらいかんがな!』

「無茶苦茶やあらへんがな」

『何や分からん!』


「分かるがな、筋が通ったぁるちゅうねがな。

京都に神泉苑ちゅうところがあるやろがな、あそこの前に薬屋があんねん。


そこになぁ、人間の体半分に断ち割った人形が内臓や何か見せてな、玄関番みたいに置いてあるちゅうねん。

そこに金看板と銀看板があって、金看板には「根本万金丹」銀の看板には「根元反魂丹」別に瓢箪型の看板があって、それには「灸点下ろします」灸(やいと)の点を下ろすちゅうことが書いたぁんねん。


もっぺん言ぅてみよか?

「先年神泉苑の門前の薬店、玄関番人間半面半身、金看板銀看板、金看板根本万金丹、銀看板根元反魂丹、瓢箪看板灸点」

と二へん言ぅたから八十六本もろていこ」


『おいおいおい……、みな持っていきやがったがな!』


。。。。。。


えぇ〜( ᴖ ·̫ ᴖ )いかがでしょうか❓

賑やかなことです(笑)

『金明竹』の口上もそうですが、聞いただけでは理解できないものがありますよね!

文字に起こすと見えてきます٩(๑>∀<๑)۶


これもそうです。

「先年神泉苑の門前の薬店、玄関番人間半面半身、金看板銀看板、金看板根本万金丹、銀看板根元反魂丹、瓢箪看板灸点」


簡単に言うと、神泉苑の門前にある薬屋さんの看板の説明です(ノ˶>ᗜ​<˵)ノ

"玄関番人間半面半身"は理科室にあった解剖人形みたいな絵を想像していただければと良いでしょう( ᴖ ·̫ ᴖ )



(写真は一部お借りしてます)

ではまた次のブログでお会いします