「はぐくむ」は「育む」と書くのが普通なので、その意味は「育てる」と同じで、やや古風な言い方、というとらえ方をしている人が多いと思います。
それで十分正解なのですが、「はぐくむ」という言葉にはもっと深い味わいがあるように思います。
それは「絵画的な単語」だということです。
「はぐくむ」は、「は」と「くくむ」からなる言葉で、「は」は鳥の羽、「くくむ」は「くるむ」や「つつむ」とほぼ同じ意味の動詞です。
「くくむ」は古い言葉ですが、これが変化した「くぐもる」は、いまでも「くぐもった声」といった形で使われます。
布にくるまれているようで聞き取りにくい声、という意味です。
つまり、「はぐくむ」は「羽でくるむ」こと。
親鳥が自分の羽で雛をくるむ様子を指す言葉で、そこから「大事に守り育てる」という意味が生まれたのです。
どんな生き物でも、親が子を守る姿は感動的ですが、親鳥が羽で子をくるむ情景はいかにも愛情がにじみ出る図であり、それを「はぐくむ」という一語で表現した先人のセンスには感服です。
親鳥にはぐくまれて成長した雛は、やがて巣立ちの時を迎え、大空へと羽ばたくわけですが、この「はばたく」は「羽」が「はたく」ということ。
私たちが手のひらで人やものを「はたく」ように、鳥が羽で空気をはたく動作を言う言葉です。
そして、立派に独り立ちした鳥が、大きく堂々とはばたいて空を舞う、その「羽の振り方」が「はぶり」。
財力や地位を得て思いのままにふるまう、という意味の「はぶりがいい」という言葉はここから生まれたわけです。
こんなふうに見てくると、昔の人々にとって鳥がいかに身近な存在だったかがよく分かります。
日々、鳥を観察して様々なことを語っていた人々は、鳥に関する多くの言葉を共有し、その一部が人についても使う言葉として定着したのでしょう。
現代の新語、流行語といえば、その出所の多くは芸人さんのギャグやニュースの言葉。
果たしてこの先、自然との触れ合いから生まれる言葉が世の中に広まることはあるでしょうか。
文文雅雅
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