こんにちは、ご訪問頂き有難うございます(^^)


7回目の今回紹介する上方落語に縁の地は
『桜宮(さくらのみや)』です
大阪の花見といえば、今は造幣局の桜の通り抜けが有名です。
しかし昔は対岸の桜宮に行ったそうです。
現在はサクラが一本もなく、代わりになぜか神社の桜宮の周辺には、ラブホテルが林立していますが•••(笑)💦
(撮影、2017,4,19)



とにかくあの界隈は河沿いですから、船で、それも屋形船で乗りつけ、花を見て、また船で帰るというのが、しゃれた花見でした。

六回目の今回の落語は
『百年目』です
ここで会ったが百年目」とは、 悪事や企みが露見 して万事休す、もうおしまいと いう時に使う言葉。
古典落語の名作。
江戸時代の落語のネタ帳にも載っており、江戸・上方落語の両方で親しまれてきた人情噺です。


ある大店の一番番頭は、40歳を過ぎても独り身で、堅物で通っている。旦那様の信頼も厚い。

とある日の朝も、お客さまのところまで行ってくると外出したが、実はこの番頭、陰ではなかなかの遊び人で、今日もこっそり芸者衆と向島へ花見に繰り出した。

屋形船に乗り込むのだが、小心者の番頭は顔を見られるのを嫌い、花見にもかかわらず船の障子を閉め切らせるほど。
しかしそのうち、酒も入って大胆に•••。

三味線弾かして"めんない千鳥"、扇子を首に縛りつけて顔を隠し、長襦袢一枚で陽気にめくら鬼ごの大騒ぎ•••。
ところが、鬼ごっこでつかまえた相手はなんと、風流仲間と花見に来ていた自分が奉公している家の旦那。

番頭はうろたえて•••

『ながながご無沙汰しております。承りますと、みなさまご家族もお変わりもなしに、日夜お店もご繁盛やそうで•••』

と、とんでもない挨拶をする。
旦那は気のきいた人ですから、そこはうまくつくろって

「なるだけ早く帰してやってくだされや」

と帰ってしまいます。

酔いも何もいっぺんに醒めはてて、逃げるように店に戻ると、風邪をひいたと二階で寝込んでしまう。

翌朝、旦那のお呼びがかかる。びくびくしながら出向くと、意外にも昨日の話はおくびにも出さず、お寺の法談で聞いた『天竺の赤栴檀(しゃくばいだん)の大木と南縁草(なんえんそう)という雑草の話』をはじめる旦那。

「赤栴檀は南縁草を肥やしにし、南縁草は栴檀の下ろす露で繁殖する。持ちつ持たれつで、家では旦那、店では番頭が赤栴檀で、若い衆が南縁草。南縁草が枯れれば赤栴檀も枯れる。

また、鯛という魚は、食べるのは胴中だが、尾っぽも頭もあってこそ価値がある。無駄があるから、お互いに支え合える。
行き届くのもいいが、若い連中にも、もう少し手綱を緩めてやらんと、締めるばかりではあかんぞ」

とやんわり諭す。

ところで、

「向島(花見)はおもしろかったかね?」

と突然話を振られてしどろもどろの番頭、旦那は少しも怒らず、

「実は、あまりに派手な遊びぶりに、帳簿に穴が開いているのではと、昨夜こっそり調べてみたが、一銭の間違いもなかった」

と番頭をほめ、

「自分の裁量で遊んでおいでだ。約束通り、来年には必ず1軒店を持ってもらう。後を継ぐものを育てながら、もう少し辛抱しておくれ」

と頼む。感激で泣き出す番頭。

「そういえば昨日、妙なことを言っていたねぇ。
毎日、毎日顔を合わせているのに『長々ご無沙汰を申し上げております•••』とはどういうわけだい?」

と旦那が訊ねる。すると番頭が•••

『真面目一辺倒と思われていましたが、あんなところでお目にかかり•••。』

あぁ、ここで会ったが『百年目』だと思いました

えぇ〜。( ^ν^)番頭が旦那さんに挨拶してから一晩中『クビになるんやろか、怒られるだけですむやろか、どないゆわれるやろ〜』と悶々として眠れない心理描写がとっても面白いです!
この部分は実際に落語を聞いていただくのをオススメします。

桜の宮大長寺の中にある•••
浄瑠璃『心中天網島』小春•治兵衛の比翼塚です

ではまた次のブログでお会いします!