競馬愛好家の皆さん、こんにちは!

 

菊花賞の枠順が決まりました!

コントレイルは2枠3番、運まで味方につけたのでしょうか?

それとも試練を与えたのでしょうか?

秋空に一筋の飛行機雲が突き抜けそうです!

 

今日は私の大好きな落語と競馬でいろいろ見つけましたので紹介します。(そのまま抜粋してます)

元ネタは『饅頭怖い』です。

 

「大逃げこわい」  


ええ、いっぱいのおはこびでございます。
時は平成6年11月5日てえますから、第55回菊花賞の前日。
レースに備えた各馬が集まって、なにやら話をしておりますが…。
「どうだいええ。せっかくこうして集まったんだからよ、今日はひとつみんなで『怖いもの』ってんで話進めていこうじゃねえか。
よし、じゃあ、まずはお前からだ」
「オレは重馬場が怖い」
「重馬場か。そうだよなあ、せっかくの晴れ舞台だ。良馬場でやりてえやな。よし、次はお前だ」
「オレは内枠が怖い」
「おうおう、それも怖ェよなあ。つつまれちまったら一巻の終わりだしよ。よし、じゃあ次」
「オレは…やっぱりスローペースだな」
「確かになあ…前半ズルズルしてると、後半追い込みが届かねえしなあ。何だよなんだよ。みんな結構怖いものってあるじゃねえか。
じゃあ次だ…って、おいおい。次はお前、ブライアンじゃあねえかよ。ようしようし、お前の怖いのは是非聞いておきてえな。
一体なんだよ」
「ねえよ」
「ねえってことがあるかよ。誰だって怖いもののひとつやふたつあるだろう。教えろよ」
「ねえもんはねえってんだよ。重馬場・内枠・スローペース。全て経験済みだ。二冠馬のオレにゃ、怖いものなど何もなしだ」
「この野郎、そうやって強がってしらばっくれようったって、その手は桑名のセクシャルバイオレットよ。とにかく、何でもいいから
怖いものを言いやがれってんだ!」
「だから、ねえってそう言ってんだろうがよ。まったくしつけえ野郎だなあ。このオレに怖いものなんてよ…あっ!」
「ん、何だよ」
「しまった、あった。ひとつだけあった。ああ、しまった。あれだけはいけねえ。うう…なんだか寒気がしてきやがったぜ」
「お、何だよ。あるんじゃねえかよ。なら言えよ」
「うう…だめだ。これだけは言えねえ。あああ」
「みんなこうやって自分の怖いもの言ってるんだからよ、お前だけ言わねえなんて、そんな不公平認めるわけにはいかねえぞ」
「わかったよ、言うよ。言うけど…笑うなよ」
「笑わねえよ。笑わねえから、言ってみな」
「お…大逃げだよ。大逃げが怖いよ」
「大逃げ?」
「そうだよ。カツラギエース・プリティキャスト・メジロパーマー…。過去大レースで大穴を空けるのは、みんな大逃げ馬なんだ。
ああ、なんか考えてたら気分悪くなってきちまった。オレ、帰るよ」
「…おいおい。あ、行っちまった。しかしまあ、考えてみりゃよう、今まであいつの出たレースで、そんなに大きく逃げる奴ァ
いなかったなあ。ヘヘ、こいつぁ面白くなってきやがった。おい、誰か明日のレースで大逃げする奴ァいねえか」
「オレが行くよ」
「お、スティールキャスト。お前行くか」
「おうよ。いみじくも、さっき野郎が言った『プリティキャスト』はオレのオフクロよ。その意地にかけても、オレが大逃げを
打ってやるぜ」
ってんで、話がまとまりまして、その日はお開きになります。
からすカァで夜が明けて、いよいよ菊花賞のスタートと相成りました。
ゲートが開いた瞬間に、約束通りスティールキャストが逃げる逃げる…。あっという間に50mは引き離しちまった。
「うわーっ、大逃げだあ。怖いよこわいよーっ!」
怖がるブライアンを横目に
「へっへっへ。野郎、案の定怖がってやがるぜ。さあて、このまま最後まで行ってやるか」
ってんで、気持ちよく逃げてたんですが、最終コーナーを回ったあたりから様子が違って参ります。
中団からブライアンがあれよあれよってな感じで抜け出して参りまして、直線じゃあ後続との差は広がる一方。
終わってみれば2着に7馬身差つけての堂々のゴールイン。
「…ぜいぜい。畜生、何のことはねえ。スティールキャストの大逃げにペース乱されてバタバタになったのはオレらの方で、野郎と
きたら、息一つ乱しちゃいねえ。やい、ブライアン。騙しやがったな。お前の本当に怖いものは一体何なんだ!!」
「へへっ。こうなっちまったら、あたしゃ自分の強さが一番怖い」 


       ・・・・・

 

55回菊花賞は、天皇賞馬プリティキャストの息子スティールキャストが大逃げをする中、2冠馬ナリタブライアンが快勝し、見事昭和最後の3冠馬に輝きました。

さて令和最初の3冠馬の誕生成るか今から楽しみです!

 

こんな落語会があればいってみたいです!

大井競馬場などでは企画されているみたいですよ。原作の『饅頭こわい』も聞いてみてくださいね。いっそう面白いです!

 

それでは競馬愛好家の皆さん、

お後がよろしいようで・・・。