クリストファー・ノーラン監督の最新作は、SFというジャンルをベースに父と娘の愛を描いた人間ドラマだ。
 
未来の地球。
そこはすでに人間が生きていくには適さない環境となり、人類は慢性的な食糧不足に悩まされていた。
ある時、家の中の不可思議な現象を解明している際、すでに解体しているNASAの元職員らと接触した主人公のクーパー(マシュー・マコノヒー)とその娘マーフ(ジェシカ・チャステイン)は、地球外の惑星の発見に人類の活路を見いだす彼らの計画を知る。
その任務を依頼されたクーパーは、惑星探索に行くことを決意。
しかし、娘のマーフは父との別れに激しく動揺しそれを拒む。
長い探索の先に主人公を待ち受けていたものは、このプロジェクトに秘められた厳しい現実だった…。
地球への帰路、仲間の飛行士ブランド(アン・ハサウェイ)を救うため、危険なブラックホールに自ら身を投じるが、その先で彼が見たものとは…。
 
オスカー俳優マシュー・マコノヒーは、1997年の「コンタクト」以来のSF作品の出演だ。
「コンタクト」では宗教学者で合衆国政府の宗教顧問という役柄だったが、本作では宇宙飛行士と全く異なる配役。
宇宙への果てしない野望を抱く一方、娘を心から愛する主人公を見事に演じきっていた。
 
本作はSFというジャンルでありながら、根底に流れているテーマは「愛」であり、特に子を想う親の愛と親を慕う子の愛がクドい表現をせずに見事に描かれている。
たとえ人類を救うという重大な任務があろうとも、その人類には自分の娘が含まれているわけであり、究極的にはその娘を救うために宇宙へ旅立つ主人公を誰も否定は出来まい。
その当たりは描き方によって見るものに誤解を与える恐れがあるが、本作は説教臭くなく上手く描けていたと感じた。
私もそうだが、子を持つ親は必見の秀作だろう。
 
それにしても、脇を固めるベテランたちの名演は、白眉の一言に尽きる。
クーパーの父親にジョン・リスゴー(2010年、愛と追憶の日々)、ブランド飛行士の父親にマイケル・ケイン(殺しのドレス、インセプション)、年老いたマーフにエレン・バースティン(エクソシスト、アリスの恋)と豪華な顔ぶれが嬉しかった。
 
あっという間の2時間50分!傑作である。
☆☆☆☆☆(星5つで満点)【11月28日観賞】
 
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