助手席の24才 | 砂の城/SINGLE CUT

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真・カツヲの生態系

その日24才の愛人を助手席にのせて私は車を走らせていた。

今日という日は私にとってとても重要な1日になる。
そう思った私は何日も前から準備に準備を重ねていた。

今だな。

突然、二人の目の前いっぱいにエメラルドグリーンに輝く巨大な海原が姿を表した。
無数の反射光がキラキラと目を刺す。

【綺麗ね】頭にのせたサングラスを戻し眩しそうに彼女は言った。

私はそんな彼女の右手をそっと握った。





などと妄想しながら24才の後輩ヘルパーを助者席にのせ、私はホームヘルパーのスキルアップ研修というものの会場に向かっていた。

冒頭のようなろくでもない妄想をしてしまうほど、私は若い女の子を隣にのせるなんて久しぶりだったし
まして私は人とのコミュニケーションが苦手で
だから妄想ばかりで言葉などほとんど発する事も出来ず、
車内の空気は重く沈んでいた。

彼女は気を悪くしてるだろうなもうしわけない事だ。
思っても仕方ない事をくよくよ考えているうちに車は研修会場に到着した。


始まった研修の内容については次の機会に譲ろう。


午前中の研修が終わって昼休み、私は同伴者に聞いた。
【昼ご飯、どうします】
【持って来てないんでたべに行こうかと…】と彼女。
私は咄嗟に嘘をついてしまった。
【僕は持って来てるんで】
【じゃあ、私、買ってきますっ】彼女がせっかく【一緒に食べましょう】
と言ってくれたのに私は
【いや、僕は煙草が吸える、どっかで適当にたべるから】
と断ってしまった。


仕方ない、今の私には若い女の子とご飯食べながら話しをして小一時間も過ごす、なんて出来っこないから。


結局私は隣の公園で何も食べる気にもなれず
一時間ぼんやりと過ごすのだった。


あーあ。