清志郎がリスペクトし、最も影響を受けたアーティストと言えば
オーティス・レディングであること、誰も異論はないと思います。
オーティスは、ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー第8位にランキングされるサザン・ソウルの巨人にしてわずか26才で飛行機事故で亡くなった伝説のヒーローです。(因みに1位はアレサ・フランクリン、3位エルビス、5位ジョン・レノン、7位ボブ・ディラン)
ただ、あまりに若くして亡くなったので、日本ではアメリカやイギリス程の知名度は一般的にはないかもしれません。むしろ、清志郎を通してその存在を知った人は、案外多いんじゃないかな。私もその1人です。
清志郎が音楽に限らずオーティスから多くの影響を受けている事は間違いないのですが、清志郎の心の中は当然分かりませんので、ここでは、現象としてその影響が現れていると思われる具体的な例を思いつくままに書き綴ることとします。
オーティスが登場する曲
オーティスが出てくる曲、3曲思い付きます。
❶『去年の今頃』
RCサクセションの曲の中で、オーティスの名前が登場する1番最初の曲じゃないかな。エレキ化する前の3人時代の曲です。
♪2人でこたつで 紅茶を飲もう
OTISのレコード 聞きながら
〜ガッタガッタ
去年のように 去年の今頃の
ように だよ
私はこの曲のこの詩で、オーティスというアーティストの存在を知りました。
❷『MTN』
RC解散後の初ソロアルバム「メンフィス」に収められている曲です。
メンフィスは、オーティス他多くのソウルミュージシャンを生み出したスタックス・レコードの創設地ですが、このアルバムはタイトル通り、メンフィスでレコーディングされています。オーティスのバックバンドとして有名なブッカーT&THE MG’sが参加しています。
MTNとは名誉市民の事だそうで、レコーディングで清志郎がメンフィス滞在時、市から名誉市民の称号をもらったそうです。
♪MEMPHISの街の
名誉市民の僕だから
信じがたい事だろ Baby
本当の話さ OTISの街で
今日も汗をかくのさ
❸『オーティスが教えてくれた』
この曲が、最も自身のオーティスへの想いをストレートに歌っています。
オーティスが如何に清志郎にとって大きな存在だったのか、曲全編を通して痛いくらい伝わってきます。
これを聞けば全てがわかります。何故、オーティスなのか。。
一部を紹介します。
♪オーティスが教えてくれた
遠い国のやせっぽちの少年に
オーティスがそっと教えてくれた
歌うこと恋に落ちること
オーティスのWordをオマージュ
清志郎の曲のタイトルなどには、オーティスをオマージュしてると思われるものがいくつもあります。
❶『Respect』
この言葉、今でこそ一般的に誰でも使いますが、一番最初に日本に広めたのは、
2000年の清志郎デビュー30周年のイベント「Respect!」じゃないかな。
このタイトルはオーティスの代表曲で、アレサ・フランクリンも大ヒットさせています。
❷『誰も知らない
(Nobady knows you)』
と言うオーティスの曲がありますが、同じタイトルの曲がラフィータフィー名義の「夏の十字架」と言うインディーズから出したアルバムにあります。
♪oolalala 僕は歌うよ
oolalala 今日も歌うよ
誰にも聴いてもらえない本当のソウルを 愛する人に歌おう
かなり自虐的な曲ですけど、これも清志郎のホンネ、苦悩のひとつだったのかもしれません。
❸Rock me baby
同名の曲がナイスミドル名義であります。
❹Love have mercy
Have mercy!というMG’sとのライブアルバムがあります。
❺Remember me
甲本ヒロトをゲストに迎えた
リメンバー・ユーという曲があります。
❻King&Queen
このアルバムは、オーティスとカーラ・トーマスのコラボですが、
「Lovey Dovey」という曲が収録されています。このタイトル、清志郎のバンド名
「ラフィータフィー」の元になったと、名著「瀕死の双六問屋」にありましたね。
❼オーティス・ブルー
オーティスのアルバム名ですが、RCにも「ブルー」というタイトルのアルバムがあります。他にもよくブルーというワードが、清志郎の詩には出てきます。また、オーティス・ブルーではストーンズの「サティスファクション」がカバーされていますが、清志郎もタイマーズで同曲をカバーしています(復活!タイマーズにライブ版あり)。
❽Whisky a go go
ハリウッドの有名なクラブで、オーティスはここで名を上げました。清志郎も新宿のクラブで、同名のイベントを行なっています。
まだまだたくさんあると思います。
普通は、どのミュージシャンも多くの影響を受けているミュージシャンがいても、あまりそれをおおっぴらには出さないと思うのですが、
清志郎の場合は、それを出すこと、表現することイコール忌野清志郎になっていると思うのです。それは、自身が圧倒的なオリジナリティを持ってるからこそできる技なんじゃないかな。
以上です。
その❷に続きます!