細野晴臣さんと清志郎のコラボレーションと言えば、何と言っても「HIS」でしょう!

細野さんのH、忌野のI、坂本冬美さんのSをとってHISと命名したそうです。






坂本冬美さんは、レコード会社がRCサクセションと同じ東芝EMIだった縁もあり、RCの問題作にして最大のヒットアルバム「Covers」に

ボーカルとして参加しています(「シークレット・エージェントマン」)が、清志郎と細野さんの共作はHISが最初でだったようです。





このプロジェクト発足の経緯は、清志郎自身の著作による「忌野旅日記」に詳しいのですが、



そもそも清志郎が細野さんと初めて会ったキッカケは、ローリング・ストーンズの元ベーシスト、ビル・ワイマンだったそうです。


ストーンズの来日公演時、ビル・ワイマンが細野さんのファンだった為、楽屋に来て欲しいと誘われていたらしいのですが、恥ずかしがり屋の細野さん、一人じゃいけないのである人に相談したところ、その人が清志郎を紹介したため、清志郎と一緒にビル・ワイマンに会いに行くこととなったそうです。

 

その日のストーンズのライブの帰り、清志郎と細野さん、一緒に中華料理屋に行ったらしく、そこで清志郎が坂本冬美さんとの東芝EMIの企画イベントに細野さんを誘ったようです。細野さん、最初は遠慮してたそうですが、結局リハーサルに足を運ばれたようで、清志郎と細野さんの長い親交がそこから始まったのでした!


 





さて、HIS名義で出したアルバム「日本の人」ですが、これが今聞き返してみてもなかなかの名盤です。細野さんプロデュースということもあり、サウンドは打ち込みで、また全体的にワールドミュージックのテイストを入れ込んでいて、南米アンデスの民族音楽に使われるチャランゴや、足踏みオルガン、三味線なども使っています。もしかしたら、清志郎がその後法螺貝にこったり、Love Jets雅楽を取り入れたりしたことも、細野さんがヒントになったのかも。

 

個々の楽曲は、これまた秀作ぞろいなんです。特に、「夜空の誓い」は、冬美さんのこぶしの効いたメインボーカルなのですが、清志郎のコーラスも素晴らしく、まさに演歌とロックの究極の融合を実現しているのではないかと思います。


渡り鳥」は、細野さんが独特の低音ボイスで「モズモズ~」と歌ってますし(笑)、冬美さんがボーカルをとった「恋人はいない」、清志郎と冬美さんボーカルの「日本の人」、清志郎ソロの「500マイル」、冬美さんの「アンド・アイ・ラブ・ハー」(言わずと知れたビートルズのカバーです)、細野さんがボーカルで参加している「恋のチュンガ」などなど聴き所満載のとても楽しいアルバムに仕上がってます。

 

冬美さんもいろいろなところで、幾度となく24歳の時のこの異文化の二人との体験がその後の自分の音楽活動にも大いにプラスに働いていると話されています。なんか、とても嬉しいですね。

 



清志郎と細野さん、その後もこのHISを軸に交流が続いており、細野さんは2000年10月、オーティス栗原(清志郎の変名です(笑))主催のイベント「Wiskey A Go Go at Club Heights」に「Trio Los Tin Pan with Friends」として鈴木茂さん他のメンバーと出演しています。




2005年は再び清志郎、冬美さんと組んで、シングル「Oh,My Love/幸せハッピー」をリリースしています。2006年は、ライブ「新・ナニワサリバンショー」にてこのシングル収録の2曲をHISとして披露しています。3人でライブ出演したのって、これが最初で最後だったんじゃないかな?とてもとても貴重なパフォーマンスです。





さらに2006年に発売された、清志郎最後の録音となったオリジナルアルバム「夢助」の、しかもアルバムラストに収録されている曲「あいつの口笛」ですが、これは作詞  忌野清志郎、作曲 細野晴臣なんです。細野さん独特の低音ボイスも聞くことができます。


細野さん、「忌野清志郎ロックンロールショー」には、2011年、2013年、2015年と3回も出演されています。

2011年は高野寛さんサポートで「幸せハッピー」を歌ってます。



「俺ももうすぐだからな」などとこの時は冗談混じりに話されていますが(笑)、今年、盟友の高橋幸宏さん、坂本龍一さんが短い間に相次いで鬼籍に入られてしまい、その喪失感は並大抵のものではないのだと思います。。。


この「幸せハッピー」、「音頭」のノリの、ノー天気な印象の曲なんですけど、自分も歳をとったこともあるのかな、ジーンと来てしまいますね。「幸せハッピー」、なんて人として最も大切な事を歌った歌なんだろうか。。細野さんの意図したところはわかりませんが、このゆるさ、イイなー(笑)。


2013年のロックンロールショーでは、細野晴臣+坂本龍一with 青葉市子で、「日本の人」をやっています。

2015年も再び「幸せハッピー」をソロでやっています。



細野さんって、とてもユーモアがあるし、とてもシャイなところも清志郎に似ているし、とてもウマがあったんだろうな。とてもスケールのデカい方だと思います。形式にとらわれず、色々な音楽表現を生み出していくところも2人に共通してると思います。


細野さんには、これからも変わらず、ずっと音楽活動を続けて欲しいと心から思います。以上です。