清志郎は多くのアーティストに曲を提供したり、ライブで共演したりしてきました。その一方で、映画やTVドラマ、バラエティへの出演についても他のアーティストと比べて多い方なんじゃないかな。

 

もともと親友には都立日野高校での同級生でありバンドメンバーでもあった名優・三浦友和さんがいるし、一躍時代の寵児となった80年代には時代をリードする文化人糸井重里さんという知己を得ていたり、音楽やサブカルチャーをメインとして扱った雑誌「宝島」にもYMOなどとともに多く取り上げられていましたので、音楽以外の世界との垣根は案外低かったのかもしれません。

 

そして何より清志郎本人の間口が広く、音楽アーティストはむやみにTV出演はしないという半ばその頃の常識とはやや一線を画す活動をしていたと思います。だからといって、安売りしている感は全くなく、時代の先端を走るなかである時は「オレたちひょうきん族」に出演しても、それはそれでとてもカッコよく、拍手喝采したことを覚えています(笑)。

 

そんなエンタメ会で生きている清志郎なので、やはり時代をリードするアイドルグループSMAP木村拓哉さんと交流が生まれたことは自然なことだったのかもしれません。勿論、木村拓哉さん自身が他のアイドルと比べ音楽への造詣が深かったということもあると思います。

 

二人の交流の始まりは、木村さんが20代のころ、世間が作り上げたアイドル像と自意識のギャップに悩んでいた頃、糸井重里さんが、RCサクセションの楽曲「君が僕を知ってる」を紹介したことをキッカケとしているようです。木村さんはこの曲をいたく気に入ったようで、「この曲に救われた」といった趣旨のコメントも残しています。この頃、木村さんと清志郎、実際初めて会う機会を持てたようです。

 

その後、「SMAPXSMAP」に清志郎が出演したり、「LoveLoveあいしてる」で共演したりもありましたが、一番二人の間を距離を縮めたのは、ドラマ「ギフト」での共演だったようです。

 

 

 

このドラマは1997年に木村さん主演で放送されたドラマで、清志郎と共演しています。ただ、残念なことにドラマで使用されたバタフライナイフを使った未成年による刺殺事件が重なった為ドラマはその後一切再放送されず、販売中のVHSも全て回収されました。ようやく2019年にBlu-rayとDVDが発売されました。

 

このことを題材にした曲が、1998年発売のLittle Screaming Revue名義「Rainbow Cafe」に収録されている「世の中が悪くなっていく」です。

 

 

 

ドラマの収録中、意気投合した木村さんと清志郎、撮影現場にも二人でギターを持ち込んで待ち時間に一緒にギターを弾いたり歌ったりしていたようです。そこで清志郎がSMAPのアルバム「SMAP 011 ス」に収録される木村さんボーカル用の曲として「弱い僕だから」を提供する話が持ち上がりました。ここで過ごした時間が、その後の二人の絆に大きく影響したようですね。

 

 

もともとこの曲は、3人時代のRCサクセションの曲で、RCサクセション オフィシャル・ブートレグ「悲しいことばっかり」にライブ盤が収録されています。また、前述のLittle Screaming Revue「Rainbow Cafe」にはスタジオレコーディング版が収録されています。

 

↓「悲しいことばっかり」裏ジャケット

 

そういえば、明石家さんまさんと木村さんの年1の番組でも、木村さん、最近お気に入りの曲として清志郎の2006年発売「夢助」に収録されている「毎日がブランニューデイ」をあげていたことがありました。

 

 

そして木村さん、2019年5月、野音で行われた「忌野清志郎ロックンロールショーfinal」ではサプライズゲストとして、本編ラスト「JUMP」演奏時、山崎まさよしさんのコールで登場して、熱唱してくれました。そして2020年1月には、三宅伸治さんと再録した「弱い僕だから」を収録したソロアルバム「Go with the Flow」が発売されました。

 

 

清志郎は人と接する時、人によって態度を変えることは一切ありませんでした。だから、清志郎と会う人はみんな、清志郎がまったく嘘のない人だということを直感的に感じ取っていたと思います。木村拓哉さんは、デビュー以降ずっと第一線で活躍し続けているスター中のスターですが、木村さんから見てもウソのない清志郎という人物がとても新鮮に映ったんじゃないかな。

 

だからこそ、こんなに長い間、二人の絆が続いているのだと思います。嘘のない、心と心の触れ合いがきっとあったのでしょうね。

以上です。