先週は、忌野清志郎と”D”との関係を書いたのですが、今回は”A”について書こうと思います。
清志郎のソングライティングの才能が余すところなく開花した名曲は、何と言っても
「スローバラード」なんじゃないかなと思います。
「MUSIC MAGAZINE」 2020年7月号 特集RCサクセション~忌野清志郎ベストソングス100~ にて、スローバラードは2位に入っています。清志郎はあれだけ長いキャリアの中であれだけ多くの曲を作って来たわけですが、その中でも特別高い評価を受けているのがスローバラードであるということを、数字が証明したということになります。
勿論、ファンの人気投票でも同様の結果になると思います。詩の素晴らしさ、曲の完成度は比類なきものだと思います。アレンジも星勝さんですしね。
(因みに1位は「トランジスタラジオ」、3位は「雨上がりの夜空に」でした。)
スロバラ以外も、清志郎のバラードは凄く好きで、私の選ぶ、清志郎バラード名作選は、以下の通りです。
70年代~80年代:スローバラード
90年代:世界中の人に自慢したいよ/いつか観た映画みたいに
2000年代:水の泡
これらの曲の共通点、それはKeyが全部”A”なんです。コード進行は、
✅スローバラード : A/F#m/D/E/A/E/E7 ~昨日は車の中で寝た~
✅いつか観た映画みたいに:D/E/A/F#m/D/E/A/F#m ~もう泣かないで今夜はきっと~
✅水の泡:D/A/D/A/F#m/B/E ~同じこの目に映る悲しくも楽しくも見える浮気な風景~
✅世界中の人に自慢したいよ:E/A/E(onG#) /F#m/D/E/A/E ~君と二人暮らせるのなら他に何もいらない~
多分アーティストにはそれぞれ意識してか無意識かわからないけど、好きなTypeのコード進行があるんじゃないかな。本人のくせというか本能というか嗜好というか。
清志郎は、サザン・ソウルの影響を多く受けていて、中でもオーティスレディングをとてもRESPECTしていました。デビュー当時の初代マネージャーさんから、オーティスの「Sing Soul Ballads」(邦題:「ソウル・バラードを歌う」ってそのままやないかい!)を借りて何度も何度も聞いたそうです。きっとそれが清志郎流バラード(特に6/8拍子)の土台になっているんじゃないかな。
ただ、オーティスのバラードと違うのは、「F#m」の存在じゃないかな。清志郎はキーが高いし、また子供のころから日本の歌謡曲に親しんできているので、F#mの使い方がうまく、清志郎節とでもいえるような日本人の心にグッとくるバラードに仕上がっている理由がここにあるんじゃないかなと勝手に解釈しています。
それにしても、スローバラード、まだ聞いたことのない方には、ぜひお勧めしたいです!勿論、他の3曲もあるでよう!
忌野清志郎 & 2・3'S - いつか観た映画みたいに - Bing video
以上です。