とうとうこの日がやって来てしまいました。

Last1となってしまったこの日は勿論満席でしたよ。私たちは4人で訪れました。定員のカウンター席10席が12席に変更されていました。


この4本にあと1本あります。

私はこの日の為に用意したジェロボアムのシャルル エドシック 1989 エノテークを

1ヶ月まえにお店に持ち込ませて頂きました。


席に座ると目の前にはいつものパンが見えます。。この調理場を見た瞬間、ここに伺うのが最初で最後のTさんが「能の舞台のようですね。調理の方の制服も」と言われていました。


シェフ自らの手で開けて頂きました。

この日は3000mlのボトルでしたのでお客さま全員と乾杯をしようと思って無理を言ってたので開けるのも一苦労でした。

でも見事な抜栓でした。



はじめはブーケが上品でした。そのうちブリオッシュの香りなども感じ取れます。そして泡立ちが繊細で、酸は程よく熟れています。でも若々しくも感じます。シャルドネとピノのアッサンブラージュですが程良く調和しているのでしょう、まさに繋ぎ目のない舌触りですね。

みなさんにとても美味しいと言って頂けました♪




さてお料理のスタートはいつもこれでしたね。

この日のベースとなる出汁です。シェフは砂糖,昆布鰹出汁を使わずにその日仕入れた魚介のアラで出汁を取ります。今日は特に甲殻類の良い出汁が出ています。

Tさんが「懐かしい味がする!」と言われています。


次は岩屋の鰆でした。ホッコリと旨味を感じるお料理でした。


そして今日一番の呼び声が高かったaさんからの

Meursault Perrieres 1997 Leroy

これは開けた途端,素晴らしいと分かるワインで、そして飲んでいく程にこんなにも素晴らしいワインを飲んだのはいつ以来だったのかと記憶を辿るワインでした。




色合いは黄金色ですが、それほど濃くはなく清らかで澄んだ照りがあります。ブーケには煎ったアーモンドやヘーゼルナッツにゴマ香が加わります。ミネラルやバター、蜂蜜や柑橘系の程よい酸に裏打ちされた香味が感じ取れます。口に含むと滑らかでフレッシュさと程よく感じる熟成感が素晴らしいテクスチャーと相まって、ストラクチャーを構成しているワインです。これを飲むと何故ペリエールがムルソーの中でトップなのか誰もが納得する味わいです。



みなさん感嘆の声しか上がりません。私はある意味では、コシュデュリクラスの美味しさを堪能しました。


これは太刀魚です。シェフらしく脂分を落としてありながら身のしっとり感がある素晴らしいお料理でした。


さて次は雲丹のカッペリーニですが、この雲丹はシェフが一番美味しいと言われる雲丹です。塩水雲丹です。でも形がしっかりとしていて新鮮さが分かります。


そして次からは赤ワインです


N先生からは

Musigny Vogue 2004

でしたがテースティングされたN先生が違和感があると。。

なにか歯磨き粉のような香りがすると。

確かにハーブとは違う香味です。

N先生によると前にも同様な事があったそうです。

熱劣化という意見もあれば、私はレディバグではないか?と思いました。

でも味わいはこれ以降低下しなかったのでみなさん飲んでいます。

原因は分かりませんが、テクスチャーは滑らかですので状態が完璧なら素晴らしいワインだったでしょう。



次のお料理は北寄貝をピノで作ったソースを塗って炙ったもの。

貝や甲殻類は生きたものしか使わないので北寄貝の甘味がとても分かりますし、白にも泡にも合います。勿論ピノにも。


そして個人的に今日一番と思ったお料理です。あん肝のシャンパン煮。シャンパンで煮込んだあん肝を裏漉しすたものを桜海老を混ぜ込んだパイに乗せてありました。

あん肝はワインに合わせるのが難しいお料理ですが、これは泡から赤まで合わせることが出来ました。それはあん肝にありがちな血のニュアンスが皆無だからです。まるで海のフォワグラですね!そして桜海老の香味が気品を感じさせてくれます。


このグラタンは最近良く作っているお料理にような気がします。

シェフに言わせるとお料理ではないと言われていますが、自家製ペシャメルソースを使ったグラタンです。

確か若い子が賄いで作ったのがきっかけだったという風に話されていたと思います。

賄いがベースだからお料理ではないと言う事でしょうか?

でも大変美味しいですよ!


さて次のワインはTさんが持ち込まれた

Ch.Lafleur 2001

Tさんはボルドー、中でもポムロールとサンテミリオンがお好きだそうです。私がこの後に珍しくボルドーを持ち込んだからかは分かりませんがボルドーです。

まず一言で言うと厚みのあるあるボディにキルシュの甘い香りが印象的なワインです。タンニンはまだまだしっかりとしていますが,ややコアの部分が解れている印象もありました。飲み頃にはやや早い感じがしましたが、余韻が長く残る良いワインですね。初ラフルールでした。



そして次が私が持ち込んだ珍しいボルドーです。

Ch.Lafite Rothschild 1982

これは思い入れのにあるワインです。私がいまから36〜7年ほど前に遡ります。当時は今の様にワインは飲みましたが、セラーを備えて熟成させようとは思いもしていなかった時期です。当時はボルドーが好きで(汗)特にその中でもラフィットとムートンが特に好きでした。そしてその当時はご多聞にもれずパーカーの評価を気にしていました(大汗)。そのパーカーが後に評価を高めるきっかけとなったのが1982の評価です。100点満点続出した伝説のVT です。当時は色々なワインが今では信じられない値段で手に入れられました。このラフィットが購入価格で10Kでした。

その後日本橋高島屋でルロワに出会ってからはボルドーとは疎遠になりました。その疎遠になる直前に購入したのがこのラフィットです。

以後36〜7年セラーに入れっぱなしにしていたのは、熟成のピークまで50年近くかかることもありましたが、これを飲む時は私のワインライフの終盤に飲んでみたいという思いあったからです。



これは最初の一嗅ぎではあまり良さは分からないワインです。ブーケは他を圧倒するでも無く、ひたすら繊細な香りという言葉が相応しいからです。しかし口に含むと滑らかな舌触りが印象的です。そして味わいには余韻の長さとも相まって果実のエキス分を感じます。ひたすら繊細で優雅なワインです。 ブルゴーニュ好きがすきなタイプのワインですね。


時間と共に杉の木のブーケが感じるとスケール感が感じられるようになり、偉大ならフィットらしさが出てきました。この82年はまだ熟成させる事ができるワインですね。96のラフィットはいつ頃飲めるのかな?その時まで元気でいられたらと思わず思ってしまいました。


このラフィットとピッタリだったのが九絵の丼です。脂をいつものように落としつつ旨みがご飯の上に落ちています。

この旨みがラフィットの繊細な味わいと舌触りにピッタリです。


そしてパスタは竹の谷蔓牛を使ったパスタです。

竹の谷蔓牛とは岡山県産の,最古の和牛の血統牛だそうです。

赤身の旨みを感じる肉ですね、なにか短角牛を食べた時に感じる旨みと似ている感じがしました。  



そしてデザートです。

確か本葛に苺に黒蜜です。黒蜜が徳島で和三盆を作っている岡田桃源郷さんが和三盆を作る時に出る物だそうです。

この黒蜜が品のある甘味が素晴らしいです。


今日のお料理はここまででした。。

今回のメンバー4人は初めてでしたが、Tさんがかなりのオタク感がある方でしたので皆さんアッという間に打ち解けていました。そしてお仕事がライターさんだけあって表現が個性的でしたし今年の6月にはサンテミリオンを訪ねるとか。



そして最後に佐藤シェフにスタッフの皆さん大変お世話になりました。お料理は勿論の事、私の粗相をカバーして頂いたりと感謝の念に堪えません。

お話しを聞くとスペインに行く若い子がいたりとか色々予定は決まっているようですが、スタッフ一人ひとりが新たな道に進まれても幸多かれ!と祈っています。

そして佐藤シェフにはこの7年間,さまざまな困難に会いながらも乗り越えてこられたことの敬意を表しますと共に、今後とももよろしくお願いしますという事で。。


そしてそう遠くない時にまたお会い出来ることを祈念して


「A. Bientot!」