〈4話〉

すべての信頼関係が崩壊しました。

 

そして元銀行員の脳が覚醒しつつある自分がいました。

 

Aとは同じ銀行の出身、かつ血液型も誕生日も一緒という奇遇な関係です。


 

その男とまさかセカンドキャリアの職場であれほど嫌だった銀行員のバトルをすることになろうとは夢にも思っていませんでした。



 

年末の職場全体での忘年会で私はAにビールを注ぎに行き

 

「物足りない後任者で申し訳ございません。」



 

宣戦布告です。


 

 

年明け、Aが有休をとった日に部下二人を呼びました。

 

「僕は上司でもあるが、君たちとは戦友だと思っている。だから隠し事はせずに、知っている情報は共有するから。」といって、今の仕事上の問題にどう取り組んでいうるかを説明し、意見を求めるようにしました。



 

実はAから「任せる」と言われた案件がありました。部下二人にはAに対して秘密裡に動いてもらい、その件がある程度目途がついたのでAにその方向で動くことを報告。了解を得ていましたが、私が本部に行っている間に私に任せられたはずのその案件のクロージングにAがしゃしゃり出て、いかにも自分が決めてきたようになっていました。

 

その話しは二人も分かっていました。


 

その翌日、人事課長のところに行き、今後の人事体制の相談の中でAの処遇について現場ではなくて本部勤務を要請をしました。


 

「トップの覚えがめでたいので、勤務日数は間をとって4日になりそうです。AがいるとMさんはやりずらいでしょう。でも4日のうち3日は本部に勤務してもらい、Aが希望する今の職場には1日だけになるようにトップには私から言いますから。」

 

「部下の二人にも面接しましたが、ハッキリ言ってAさんはいなくても困らないと言っていました。また今の二人の部下は異動させないのでAさんがいる必要はないでしょう。」

 

と人事課長もある程度押さえておくことができました。



 

実は部下とは話し合っており、

 

男性の部下は「Aさん今や勝手にフェイドアウト(仕事をしない)しているので、いなくても困らないですよ。」

 

女性の部下からは「Aさん顧問になっても勝手にやりたいことだけしかやらないでしょうから、いないと思って態勢を考えるべきでしょう。」

 

と部下の本音は確認してありました。



 

銀行の中での戦いは、決して表に出してはいけません。秘密裡に動き、根回しをしてそして一気に勝負です。

 


 

しかしこの勝負は最長2年は続くでしょう。トップを押さえているのでまだこちらが優勢とは言えない面があるからです。



 

でもやる以上は負けないケンカをします。


 

今後も局面に応じて戦況は綴っていくつもりです。



 

あ~スッキリした!(笑)