さて、今回ご紹介するのは、気鋭のピアニスト、山中千尋(ちひろ)さんのアルバム、「After Hours (アフター・アワーズ)~オスカー・ピーターソンへのオマージュ」です。
早速、ジャケットは、こちら。
それで、この、山中千尋さんと言う方は、小曽根さんもダイアナ・クラールも学んだ、今や、ジャズの登竜門と言っていい、アメリカのボストンのバークリー音楽院を首席で卒業されているんですね。
このアルバムは、メジャーデビューから三年ほど経った、2008年の作品なのですが、なんと、日本ゴールドディスク大賞(ジャズ邦楽部門)を受賞している作品です。
では、メンバーと、構成を。
オスカー・ピーターソンが1958年まで守り通した、「ピアノ・ベース・ギター」というトリオ形式を、このアルバムでも採用しています。
メンバーは、山中千尋がピアノ、アヴィ・ロスバード(Avi Rothbard)がギター(ロスワードと言う表記もありますが、CDのジャケットを見ても、ネットで調べても、「ロスバード」の方が正しいようです。)そして、ベースが、脇 義典(Yoshi Waki)となっております。
ちなみに、バークリーの頃からの、音楽仲間の三人だそうです。
あと、このアルバムは、2007年のオスカー・ピーターソンの逝去を受けて、作られたトリビュート盤です。
それでは、内容に。全8曲です。
1曲目、「All of Me (オール・オブ・ミー)」
ピアノのゴージャスな短いイントロから、このアルバムは始まります。
いきなり、三者で、サビの演奏。オスカーへのオマージュというのが、すぐ理解できる音です。
アドリブに入っても、ピアノの速弾きのテクニックは言うまでもなく、秀逸で、オスカーっぽさを充分出しています。
ベースソロに移っても、速いリズムは変わりません。
ピアノにメインが戻って、アドリブが再開されますが、すぐに、ギターソロに移ります。
奇をてらわない、好感の持てるギターソロです。
最後は、冒頭のサビの演奏に戻って、エンディングは、ベースとギターでしめます。
2曲目「There Will Never Be Another You(ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザ―・ユー)」
軽妙なピアノの、サビの演奏から入ります。ベースとギターもよいサポートをしています。1曲目ほどのスピード感はありませんが、充分、満足のいく内容です。
ピアノがアドリブに入っても、オスカーの匂いはします。さすが、バークリーを首席で出ただけのテクニックです。
ギターソロも、落ち着いていて、トリビュート盤にふさわしいソロです。贅沢な時間が味わえる、優れたソロです。
その後、ピアノとベースの掛け合いがありますが、ド迫力というより、ソフトなコミュニケーションで、いい感じです。
それから、ピアノが再びメインに戻って、サビの演奏をします。そのまま、終わります。
3曲目、「Confirmation (コンファメーション)」
ピアノのお洒落なイントロから入ります。すぐにサビの演奏に移ります。三者の一体感が非常に強く感じられます。
ピアノのアドリブに入って、割とスピーディーな展開を見せますが、ここは、千尋さんのオリジナリティが出ていると思います。しかし、脇の二人(名前じゃありません)が、実に、オスカーっぽいサウンド作りに貢献しています。
ギターソロに入っても、ピアノもベースも絡んで、実に重厚な音創りです。
その後、三者混然とした演奏から、ベースソロに入ります。
再び、三者混然とした演奏で、終わります。
4曲目、「You'd Be So Nice To Come Home To (ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ)」
ギターがいきなりサビの演奏から入ります。そのまま、ギターのアドリブ。ベースもピアノも控えめです。かなりの技巧を披露しているギターです。長いです。
ようやく、ピアノのアドリブ。こちらも、オスカーへのオマージュとあって、相当な技巧を駆使しています。
そして、今度は、ギターとピアノの掛け合い。かなり聴き応えがあります。何度も繰り返されます。会話のように進行していきます。
最後は、ギターがサビの演奏に戻って、絶妙の終わり方です。
5曲目、「Sioux City Sue New (スー・シティ・スー・ニュー)」 キース・ジャレットの曲です。
ピアノの軽快なイントロから入ります。亡きオスカーを偲ぶ気持ちが伝わってくるかのような、穏やかなサビの演奏です。
ちょっと、ヴィブラフォンのような音も入って、明らかにピアノの音とは違いますし、ピアノも同時並行で演奏しているのですが、演奏者名がジャケットに書いていないので、正直、分かりません。
ピアノのサビに戻って、ギターが入って、ギターがメインで、終わります。
6曲目「All The Things You Are (オール・ザ・シングス・ユー・アー)」
ピアノの低音のイントロから入って、ピアノの真ん中あたりの音で、サビが奏でられます。なかなか重厚感のある音です。
かと思うと、軽快なアドリブに入って、特に後半以降は、超絶技巧とまではいかないものの、かなりのテクニックを駆使して、オスカーの雰囲気を彷彿とさせます。
その後は、ギターソロ。ピアノもベースも軽く絡みますが、ギターの独創性豊かなプレイが楽しめます。
それから、ベースソロ。低音を中心に、丸みのある音を出しています。
最後は、ピアノが冒頭のサビに戻って、エンディングは、イントロと同じフレーズの繰り返しで終わります。
7曲目、「Over The Rainbow (虹の彼方に)」
ベースとギターのスピード感溢れるイントロに、ピアノが乗っかります。サビの演奏の後、ギターソロが入ります。疾走感溢れるプレイです。そこに、ピアノが、原曲をうまくアレンジしたアドリブで入ってきて、そして、美しいサビを奏でた後、ベースとギターのイントロの演奏が戻ってきて、最後は、ピアノが、しめます。
8曲目、最後の曲「Everything Happens To Me (エヴリシング・ハップンズ・トゥ・ミー)
ピアノの凄まじいテクニックがバラードに使われるという、オスカーへのオマージュとしては、最高の終わり方です。短い曲ですが、音符の数は、曲の長さの割には、非常に多いです。原曲の美しさは保たれています。
以上で、本作のご紹介を終わります。スタンダード揃いでしたね!
あまり収録時間が長いアルバムではありませんが、日本人ピアニストの、オスカーへのトリビュートというのは、一聴の価値があると思います。興味がお有りでしたら、お聴きください。
今回も最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
早速、ジャケットは、こちら。
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それで、この、山中千尋さんと言う方は、小曽根さんもダイアナ・クラールも学んだ、今や、ジャズの登竜門と言っていい、アメリカのボストンのバークリー音楽院を首席で卒業されているんですね。
このアルバムは、メジャーデビューから三年ほど経った、2008年の作品なのですが、なんと、日本ゴールドディスク大賞(ジャズ邦楽部門)を受賞している作品です。
では、メンバーと、構成を。
オスカー・ピーターソンが1958年まで守り通した、「ピアノ・ベース・ギター」というトリオ形式を、このアルバムでも採用しています。
メンバーは、山中千尋がピアノ、アヴィ・ロスバード(Avi Rothbard)がギター(ロスワードと言う表記もありますが、CDのジャケットを見ても、ネットで調べても、「ロスバード」の方が正しいようです。)そして、ベースが、脇 義典(Yoshi Waki)となっております。
ちなみに、バークリーの頃からの、音楽仲間の三人だそうです。
あと、このアルバムは、2007年のオスカー・ピーターソンの逝去を受けて、作られたトリビュート盤です。
それでは、内容に。全8曲です。
1曲目、「All of Me (オール・オブ・ミー)」
ピアノのゴージャスな短いイントロから、このアルバムは始まります。
いきなり、三者で、サビの演奏。オスカーへのオマージュというのが、すぐ理解できる音です。
アドリブに入っても、ピアノの速弾きのテクニックは言うまでもなく、秀逸で、オスカーっぽさを充分出しています。
ベースソロに移っても、速いリズムは変わりません。
ピアノにメインが戻って、アドリブが再開されますが、すぐに、ギターソロに移ります。
奇をてらわない、好感の持てるギターソロです。
最後は、冒頭のサビの演奏に戻って、エンディングは、ベースとギターでしめます。
2曲目「There Will Never Be Another You(ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザ―・ユー)」
軽妙なピアノの、サビの演奏から入ります。ベースとギターもよいサポートをしています。1曲目ほどのスピード感はありませんが、充分、満足のいく内容です。
ピアノがアドリブに入っても、オスカーの匂いはします。さすが、バークリーを首席で出ただけのテクニックです。
ギターソロも、落ち着いていて、トリビュート盤にふさわしいソロです。贅沢な時間が味わえる、優れたソロです。
その後、ピアノとベースの掛け合いがありますが、ド迫力というより、ソフトなコミュニケーションで、いい感じです。
それから、ピアノが再びメインに戻って、サビの演奏をします。そのまま、終わります。
3曲目、「Confirmation (コンファメーション)」
ピアノのお洒落なイントロから入ります。すぐにサビの演奏に移ります。三者の一体感が非常に強く感じられます。
ピアノのアドリブに入って、割とスピーディーな展開を見せますが、ここは、千尋さんのオリジナリティが出ていると思います。しかし、脇の二人(名前じゃありません)が、実に、オスカーっぽいサウンド作りに貢献しています。
ギターソロに入っても、ピアノもベースも絡んで、実に重厚な音創りです。
その後、三者混然とした演奏から、ベースソロに入ります。
再び、三者混然とした演奏で、終わります。
4曲目、「You'd Be So Nice To Come Home To (ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ)」
ギターがいきなりサビの演奏から入ります。そのまま、ギターのアドリブ。ベースもピアノも控えめです。かなりの技巧を披露しているギターです。長いです。
ようやく、ピアノのアドリブ。こちらも、オスカーへのオマージュとあって、相当な技巧を駆使しています。
そして、今度は、ギターとピアノの掛け合い。かなり聴き応えがあります。何度も繰り返されます。会話のように進行していきます。
最後は、ギターがサビの演奏に戻って、絶妙の終わり方です。
5曲目、「Sioux City Sue New (スー・シティ・スー・ニュー)」 キース・ジャレットの曲です。
ピアノの軽快なイントロから入ります。亡きオスカーを偲ぶ気持ちが伝わってくるかのような、穏やかなサビの演奏です。
ちょっと、ヴィブラフォンのような音も入って、明らかにピアノの音とは違いますし、ピアノも同時並行で演奏しているのですが、演奏者名がジャケットに書いていないので、正直、分かりません。
ピアノのサビに戻って、ギターが入って、ギターがメインで、終わります。
6曲目「All The Things You Are (オール・ザ・シングス・ユー・アー)」
ピアノの低音のイントロから入って、ピアノの真ん中あたりの音で、サビが奏でられます。なかなか重厚感のある音です。
かと思うと、軽快なアドリブに入って、特に後半以降は、超絶技巧とまではいかないものの、かなりのテクニックを駆使して、オスカーの雰囲気を彷彿とさせます。
その後は、ギターソロ。ピアノもベースも軽く絡みますが、ギターの独創性豊かなプレイが楽しめます。
それから、ベースソロ。低音を中心に、丸みのある音を出しています。
最後は、ピアノが冒頭のサビに戻って、エンディングは、イントロと同じフレーズの繰り返しで終わります。
7曲目、「Over The Rainbow (虹の彼方に)」
ベースとギターのスピード感溢れるイントロに、ピアノが乗っかります。サビの演奏の後、ギターソロが入ります。疾走感溢れるプレイです。そこに、ピアノが、原曲をうまくアレンジしたアドリブで入ってきて、そして、美しいサビを奏でた後、ベースとギターのイントロの演奏が戻ってきて、最後は、ピアノが、しめます。
8曲目、最後の曲「Everything Happens To Me (エヴリシング・ハップンズ・トゥ・ミー)
ピアノの凄まじいテクニックがバラードに使われるという、オスカーへのオマージュとしては、最高の終わり方です。短い曲ですが、音符の数は、曲の長さの割には、非常に多いです。原曲の美しさは保たれています。
以上で、本作のご紹介を終わります。スタンダード揃いでしたね!
あまり収録時間が長いアルバムではありませんが、日本人ピアニストの、オスカーへのトリビュートというのは、一聴の価値があると思います。興味がお有りでしたら、お聴きください。
今回も最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。