さて、今回ご紹介するのは、有名な曲「Take Five」の作曲者としても知られる、人気アルトサックス奏者、ポール・デスモンド(Paul Desmond)が発表した、ボサノヴァ・ジャズの名盤、「ボッサ・アンティグア (Bossa Antigua)」です。
早速、ジャケットを。
それでは、メンバー紹介を。ポール・デスモンドがアルト・サックス、ジム・ホール(Jim Hall)がギター、(ユー)ジ-ン・ライト(Eugene Wright)がベース、コニ―・ケイ(Connie Kay)がドラムスです。
(ジャケットの右下に、「Featuring Jim Hall」とあるので、このアルバムでのジム・ホールは、単なるサイドマンではなく、ある意味、デスモンドと対等な関係にあることが分かります。)
それでは、内容に。全八曲です。
1曲目、アルバム同タイトル曲「Bossa Antigua」 デスモンドの作品です。
1964年の作品ですから、アメリカにボサノヴァ旋風が巻き起こっていた時期ですね。
ジム・ホールのイントロから入って、デスモンドのサックスが乗ります。この二人の共演と言うのが、非常に魅力的です。ドラムスは、ふちを叩いているので、パーカッションのようにも聴こえますが、ドラムスです。非常に、クールな、典型的なボサノヴァとは異なる味わいのある、ジャズの作品です。
ジム・ホールのギターソロも、聴き応え充分です。
それにしても、デスモンドのクールなアルトサックスは、誰も真似できないと思わされる位、ひょうひょうとしています。
2曲目、「The Night Has A Thousand Eyes」
ジム・ホールの洒落たイントロに、デスモンドが加わります。ドラムスは普通の叩き方に戻っていますが控えめで、ベースは、もっと控えめです。
デスモンドのサックスが、実に聴き易く、やさしい音で、ジャズとボサノヴァをうまく融合しているなと感心します。
ちなみに、この曲は、他のアーティストにも取り上げられている、ジャズのスタンダードですね。(夜は千の眼を持つ、通称「夜千」)。
ジム・ホールのソロも、実に爽やかで、このアルバムを名盤たらしめる要素の一つになっています。
デスモンドのサックスに戻っても、ジャズ作品のボサノヴァアレンジは、相変わらず、上手です。
3曲目、「O Gato」
ジム・ホールのイントロの着想の豊かさには、本当に驚嘆します。ドラムスもベースも絡んではいますが。
そして、イントロが終わっても、ギターが少しの間メインで、ようやく、デスモンドが登場したかと思うと、また、ジム・ホールのギター。そして、またデスモンドの登場。スケールの大きな掛け合いのような演奏です。また、ギターソロが入ります。
曲名から言って、ボサノヴァ寄りの曲の感じがしますが、中身は、しっかり、ジャズとボサノヴァのブレンドです。
最後は、さすがに、デスモンドのサックスで、フェイドアウトします。
4曲目、「Samba Cantina」 デスモンドの作品です。
ギターのイントロのすばらしさは改めて言うまでもありません。デスモンドのサックスは相変わらずクールです。先日ご紹介した、スタン・ゲッツの「ジャズ・サンバ」を彷彿とさせる曲調です。
サンバと言うと、カーニバルの派手なイメージがあるのですが、この曲の曲調は、そんなことは全くなく、むしろ、切なさが溢れているような情感がたっぷりの曲調です。
しばらく、デスモンドの演奏が続いた後、ジム・ホールのギターソロが入ります。デスモンドの作品と言うより、共同名義で出した方が内容にふさわしかったのではないかと思う程の、長く、巧みなソロです。
デスモンドの演奏に戻っても、ジム・ホールの存在感は大きいです。
5曲目、「Curacao Doloroso」 これもデスモンドのナンバーです。
珍しく、ドラムスのイントロに、アルトサックスが乗っかります。デスモンドのクールなサックスは、元々、ボサノヴァに親和性があったような感じもします。
ギターソロに移っても、ボサノヴァ・ジャズの独特の曲調は変わることはありません。本当に、ジム・ホールは多才だと思います。
そして、デスモンドのサックスに戻りますが、ドラムスの音が、パーカッションのように聴こえて、ボサノヴァチックな雰囲気を醸し出しています。
6曲目、「A Ship Without A Sail」 これも、ジャズのスタンダードですね。
再び、ギターの巧みなソロから始まります。デスモンドのサックスが、実に恰好いいです。ボサノヴァのテイストを残しながらも、この曲は、やや、ジャズ寄り、という感じがします。
半分を経過したところで、ジム・ホールのギターソロ。相変わらず、ドラムスは、ふちを叩いていますが、頻度は少ないです。完全にギターはアドリブですね。ジム・ホールが、後年、「巨匠」の地位を確立したのも理解できる、最高のギター・ソロです。派手さはありませんが、とにかく、いぶし銀の演奏です。
そして、再び、最後は、デスモンドのサックスが心地よい音を聞かせて、フェイドアウトします。
7曲目、「Alianca」 デスモンドのナンバーです。
リズムセクション三人のイントロに、デスモンドが入ってきます。ギターの音は小さいのですが、サックスと少し絡んでいます。その後は、デスモンドのソロで、ギターはサイドメンの一人になっているのですが、やはり、それでも、存在感があります。
割とすぐ、ギターのソロになって、音量も充分大きめで、ドラムスも普通に戻って、巧みなギターテクニックが聴けます。
その後、サックスが戻ってきて、少しソロを吹いた後、冒頭の演奏に戻って、また、サックスとギターがやや絡んで、今度は、ギターのアドリブのまま、フェイドアウトします。
8曲目、「The Girl From East 9th Street」 これも、デスモンドのナンバーです。
ギターの神妙なイントロから始まって、サックスが、ギターと合奏もしたりして、陽気なナンバーです。
サックスソロに入ると、ドラムスのふちを叩く音が目立ちますが、ギターも、さりげないサポートで、この曲に貢献しています。
半分の手前で、ギターソロに入ります。リーダーではないにしても、思い通りのアドリブを展開していて、痛快です。
終盤になって、サックスが戻ってきて、ギターとの冒頭の合奏の再現もありますが、今度は、サックスのアドリブで、フェイドアウトします。
以上で、本作のご紹介を終えますが、とにかく、ジャズとボサノヴァのブレンドが絶品ですし、デスモンドとジム・ホールの共演が最高にクールなので、是非、お聴きになってみて下さい。デスモンドの作曲能力の高さもさすがです。
今回も最後までお付き合いた抱き、誠にありがとうございました。
早速、ジャケットを。
- Bossa Antigua/Paul Desmond
- ¥689
- Amazon.co.jp
それでは、メンバー紹介を。ポール・デスモンドがアルト・サックス、ジム・ホール(Jim Hall)がギター、(ユー)ジ-ン・ライト(Eugene Wright)がベース、コニ―・ケイ(Connie Kay)がドラムスです。
(ジャケットの右下に、「Featuring Jim Hall」とあるので、このアルバムでのジム・ホールは、単なるサイドマンではなく、ある意味、デスモンドと対等な関係にあることが分かります。)
それでは、内容に。全八曲です。
1曲目、アルバム同タイトル曲「Bossa Antigua」 デスモンドの作品です。
1964年の作品ですから、アメリカにボサノヴァ旋風が巻き起こっていた時期ですね。
ジム・ホールのイントロから入って、デスモンドのサックスが乗ります。この二人の共演と言うのが、非常に魅力的です。ドラムスは、ふちを叩いているので、パーカッションのようにも聴こえますが、ドラムスです。非常に、クールな、典型的なボサノヴァとは異なる味わいのある、ジャズの作品です。
ジム・ホールのギターソロも、聴き応え充分です。
それにしても、デスモンドのクールなアルトサックスは、誰も真似できないと思わされる位、ひょうひょうとしています。
2曲目、「The Night Has A Thousand Eyes」
ジム・ホールの洒落たイントロに、デスモンドが加わります。ドラムスは普通の叩き方に戻っていますが控えめで、ベースは、もっと控えめです。
デスモンドのサックスが、実に聴き易く、やさしい音で、ジャズとボサノヴァをうまく融合しているなと感心します。
ちなみに、この曲は、他のアーティストにも取り上げられている、ジャズのスタンダードですね。(夜は千の眼を持つ、通称「夜千」)。
ジム・ホールのソロも、実に爽やかで、このアルバムを名盤たらしめる要素の一つになっています。
デスモンドのサックスに戻っても、ジャズ作品のボサノヴァアレンジは、相変わらず、上手です。
3曲目、「O Gato」
ジム・ホールのイントロの着想の豊かさには、本当に驚嘆します。ドラムスもベースも絡んではいますが。
そして、イントロが終わっても、ギターが少しの間メインで、ようやく、デスモンドが登場したかと思うと、また、ジム・ホールのギター。そして、またデスモンドの登場。スケールの大きな掛け合いのような演奏です。また、ギターソロが入ります。
曲名から言って、ボサノヴァ寄りの曲の感じがしますが、中身は、しっかり、ジャズとボサノヴァのブレンドです。
最後は、さすがに、デスモンドのサックスで、フェイドアウトします。
4曲目、「Samba Cantina」 デスモンドの作品です。
ギターのイントロのすばらしさは改めて言うまでもありません。デスモンドのサックスは相変わらずクールです。先日ご紹介した、スタン・ゲッツの「ジャズ・サンバ」を彷彿とさせる曲調です。
サンバと言うと、カーニバルの派手なイメージがあるのですが、この曲の曲調は、そんなことは全くなく、むしろ、切なさが溢れているような情感がたっぷりの曲調です。
しばらく、デスモンドの演奏が続いた後、ジム・ホールのギターソロが入ります。デスモンドの作品と言うより、共同名義で出した方が内容にふさわしかったのではないかと思う程の、長く、巧みなソロです。
デスモンドの演奏に戻っても、ジム・ホールの存在感は大きいです。
5曲目、「Curacao Doloroso」 これもデスモンドのナンバーです。
珍しく、ドラムスのイントロに、アルトサックスが乗っかります。デスモンドのクールなサックスは、元々、ボサノヴァに親和性があったような感じもします。
ギターソロに移っても、ボサノヴァ・ジャズの独特の曲調は変わることはありません。本当に、ジム・ホールは多才だと思います。
そして、デスモンドのサックスに戻りますが、ドラムスの音が、パーカッションのように聴こえて、ボサノヴァチックな雰囲気を醸し出しています。
6曲目、「A Ship Without A Sail」 これも、ジャズのスタンダードですね。
再び、ギターの巧みなソロから始まります。デスモンドのサックスが、実に恰好いいです。ボサノヴァのテイストを残しながらも、この曲は、やや、ジャズ寄り、という感じがします。
半分を経過したところで、ジム・ホールのギターソロ。相変わらず、ドラムスは、ふちを叩いていますが、頻度は少ないです。完全にギターはアドリブですね。ジム・ホールが、後年、「巨匠」の地位を確立したのも理解できる、最高のギター・ソロです。派手さはありませんが、とにかく、いぶし銀の演奏です。
そして、再び、最後は、デスモンドのサックスが心地よい音を聞かせて、フェイドアウトします。
7曲目、「Alianca」 デスモンドのナンバーです。
リズムセクション三人のイントロに、デスモンドが入ってきます。ギターの音は小さいのですが、サックスと少し絡んでいます。その後は、デスモンドのソロで、ギターはサイドメンの一人になっているのですが、やはり、それでも、存在感があります。
割とすぐ、ギターのソロになって、音量も充分大きめで、ドラムスも普通に戻って、巧みなギターテクニックが聴けます。
その後、サックスが戻ってきて、少しソロを吹いた後、冒頭の演奏に戻って、また、サックスとギターがやや絡んで、今度は、ギターのアドリブのまま、フェイドアウトします。
8曲目、「The Girl From East 9th Street」 これも、デスモンドのナンバーです。
ギターの神妙なイントロから始まって、サックスが、ギターと合奏もしたりして、陽気なナンバーです。
サックスソロに入ると、ドラムスのふちを叩く音が目立ちますが、ギターも、さりげないサポートで、この曲に貢献しています。
半分の手前で、ギターソロに入ります。リーダーではないにしても、思い通りのアドリブを展開していて、痛快です。
終盤になって、サックスが戻ってきて、ギターとの冒頭の合奏の再現もありますが、今度は、サックスのアドリブで、フェイドアウトします。
以上で、本作のご紹介を終えますが、とにかく、ジャズとボサノヴァのブレンドが絶品ですし、デスモンドとジム・ホールの共演が最高にクールなので、是非、お聴きになってみて下さい。デスモンドの作曲能力の高さもさすがです。
今回も最後までお付き合いた抱き、誠にありがとうございました。