こんばんは、昨日の記事に続き、エヴァンス様再登場です。
よく、スコット・ラファロ(Scott LaFaro)とのインタープレイがエヴァンスの絶頂期で、ラファロが夭逝した後のアルバムは、その頃には残念ながら及ばない、という意見を聞くことがあります。「そんなことないですよ、ラファロ亡き後もエヴァンストリオは、いいもの作っていますよ。」というメッセージを発信するために、今晩は、「Trio'65」をご紹介します。
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一曲目の「Israel」は、エヴァンスの十八番の一つですね。彼自身がユダヤ人であったことと何か関連があるのでしょうか?(ちなみに、マイルスは、Kind of Blueのレコーディングの合間に、「お前みたいな白人にジャズは分かるか?」みたいなジョークを言ったらしいのですが、エヴァンスはそれをまともに受けてしまい、慌てたマイルスは「冗談だよ、冗談」と言ったようですが、「ジャズはアフリカン・アメリカン(黒人)の文化遺産」という仮説も十分検証に値しそうですし、かと言って、白人アーティストの活躍を無視して通るわけにもいきませんし、難しい問題ですね。
三曲目の'Round Midnight は、いわずもがな、セロニアス・モンク(Thelonius Monk)
が作曲したナンバーのカバーですが、よく、ジャズのトップは誰だという話になったときに、トランペットはマイルス、サックスはコルトレーン、ここまでは、大体異論のないところですが、ピアノとなると、エヴァンスか、モンクか、で、真っ二つに分かれるようです。
私は、大学の時に、モンクファンのマスターのジャズ喫茶で、エヴァンスをリクエストして、ひどく嫌がられたことがありますが、一位タイ二人でいいんじゃないですかね?それに、トミー・フラナガンとか、ケニー・ドリューとか、レッド・ガーランドとか、デイブ・ブルーベックとか、山ほど優れたピアニストはいるわけですから、不毛な議論だと思います。
本題に戻りますが、チャック・イスラエル(ベース)、ラリー・バンカー(ドラムス)のピアノトリオ編成の本作「'Trio65」でも、エヴァンスの軽快なピアノというか、難しい和音やインプロビゼーション(即興)も涼しい顔で弾きこなすエヴァンスは健在です。もちろん、代表作とまでは私も評価していませんが、非常に聴きやすく、エヴァンスも落ち着いていて、「Moonbeams」のような、ちょっと元気がないというか、ラファロを失ったショックが明らかな感じではありませんし、立派な佳作だと思います。(Moonbeamsを否定しているわけではありません。アーティストの心境の変化が作品に映し出されるのは、必然でしょうし)
というわけで、Waltz For Debby でエヴァンスの感性が気に入った方は、こちらもどうぞ。(他にもたくさんエヴァンス名義のアルバムはありますが)
お付き合い、ありがとうございました。