先日のエヴァンスのWaltz For Debbyは、大きな反響を頂き、改めて、「エヴァンスは人気があるなあ。」と、気付かされました。

ジャズバーを経営して、毎日ロールキャベツを作っていらしたことのある作家の村上春樹さんが、しばらく店を続けた後、店を閉め、毎日聴いていたジャズを、数年間聴かなかったという話を、村上さんの著書で読んだことがあります。

私は、村上さんのジャズの知識にも、演奏を分析する鋭い批評眼にも、逆立ちしてもかないませんが、私も、ジャズを聴き始めて20年弱、時々、あの「ジャズの匂い」が、ふと重荷に感じられることがあります。そんな私の耳に飛び込んできたのが、「新しいジャズ―スムースジャズ」だったのです。

今日、ご紹介するのは、ティル・ブレナーという、「チェット・ベイカーの再来」とも言われることのある、スムースジャズに主に属する、トランぺッタ―です。技法とルックス、甘いヴォーカルの三点拍子が揃っているというのが、上記の呼称の由来です。

Blue Eyed Soul
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出会いは、Inter FM (ラジオ局名書いちゃっていいのかな?)で、深夜のパーソナリティ(前に書いたのと同じ人です)がかけた「Track One」という曲で、調べた結果、ティル・ブレナー(Till Bronner)(注:本当はoの上に記号がつくのですが、省かせて頂きました)のアルバム「Blue Eyed Soul」だと分かり、買いました。透明感溢れる、まさに「スムース」な曲もあれば、ちょっとアングラっぽい、ネクラな感じの、アンニュイな曲もあり、ジムで走るのに丁度いいテンポの、いかしたナンバーもあり、このアルバムはお勧めです。

先日もお話ししたように、スムースジャズは、アメリカでは市民権を得ていますから、このジャンルのスターたちも存在します。
ひとまず二人挙げると、クリス・ボッティ(Chris Botti)(端正な顔立ちから、愛称は「貴公子」、トランぺッタ―で、スティングのバックを務めた経験あり)
To Love Again: The Duets
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デイブ・コーズ(Dave Koz)(自身で運営するネットラジオを立ち上げている。サックスプレイヤ―。ジョージ・マイケルをカバーした「Careless Whisper」は、原曲以上にセクシーで、切なく、一度聴いたら癖になります。下に紹介したアルバムに収録されています)
The Dance
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などですが、他にも、先日ご紹介した、カーク・ウェイラム(Kirk Whalum)など、有名どころは結構います。

ただ、「分かりやすいジャズ」であることも否めないので、「スムースジャズの商業化(Commercialization)」の危険性を公に指摘したアーティストもいます。こればかりは、リスナーが、各自、感性を鋭敏にして、本当に良いものだけが残るよう、アーティストの自助努力だけに頼らず、耳を鍛える必要がありそうですね。

今日も、最後まで、お付き合い、有難うございました。