流れ作業的健康診断にありがちな採血風景。
たっぷり3本分の血を採取した後、
何百回も言ったであろう注意事項を事務的に口にしながら、
針を抜き、止血テープを貼る。

「これ、使いますか?」
ベテラン看護師が僕に差し出したのは、
使い切った止血テープの台紙だった。
「え?」
「それ・・・」
と、彼女の視線は僕の右手に。
僕は読みかけの文庫本を持っていたのだが、
栞がなくて人差し指を突っ込んだままだったのだ。
「あ・・・ありがとうございます」
こうして僕の文庫本には栞ができた。

天使の栞。
白衣の看護師に萌えることはないが、今日の「天使」には、まいった。
機械的、事務的、流れ作業的に採血しているだけと思っていたのに、
デスクの影で見えにくかったであろう右手の文庫本に気がついていたとは。
うむむ・・・惚れてしまうではないか。
【本日の一冊】 一路(下) 浅田次郎著
健康診断の当日から読み始めたのがこれ。
読み終わるまで、「天使の栞」を使うことにしようっと。
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wrote by 1961_TM