こんにちは。

母の短歌にようこそ。

 

酷暑が続いておりますが、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。

どうぞ、この暑さで体調を崩されませんようにお大切にして下さい。

 

さて、今日は父が他界した後の母の歌を中心に紹介させて頂きたいと思います。

母が68歳の時、父は77歳で他界致しました。

本当に突然のお別れでした。大病を何度かした父でしたが、幸いにも回復し、その後は穏やかに過ごしており、一ヶ月後には、私達家族の住む関西へ父と母と二人で旅行に来る計画もたてていた時でした。

その日、日中は元気で普通に過ごしていた父の容態が夕方急に悪くなり、急遽入院。そして翌日早朝、父は旅立ったのでした・・・。本当に予想だにしない出来事でした。近しい人を見送った経験はそれまでにもありましたが、私はこの時初めて「視界に入るものが色を失う」という経験をしました。目に見えるものがモノクロームなのです。ただ、父を失った悲しみと共に「悲しんでばかりいられない。一人になってしまった母を支えなくてはいけない。」との強い思いがあり、その後、何より母に寄り添っていたように思います。

 

当然ながら、父の死を一番悲しみ、身が引き裂かれるような辛い喪失感を感じていたのは母です。

そんな母の歌ですが今日、ここに載せる歌は、母の本心ではありますが、少し控えめにその悲しさを表しているような気がします。と言いますのは、昨年帰省した際、それまで見たことのなかった母の短歌ノートが見つかり、夫の死に対する、悲しみ、辛さ、孤独感、そして運命への怒り・・・、などが連綿と書き綴られていました。そこに書かれていた歌を読んでいると、私自身も辛くなり最後迄読み終えることが出来ませんでした。いつか、それらの歌も整理してここでご紹介できたら、と思っております。

 

最初の一首は以前のブログで紹介させて頂いた作品ですが、お許しください。

又、後半は父亡き後数年して、都会に住む兄の家族が母の家に越して来た時のものです。母の喜びと安堵が感じられます。

 

 

 

 

雨戸繰る

宵ごとに光る

星ひとつ

夫在りし日は

気付かざりしを

 

 

 

 

新盆に

集い給いし

客帰り

夫の遺影の

前に座りぬ

 

 

 

新盆の

飾り提灯に

囲まれし

遺影の夫は

黙して吾見る

 

 

 

 

 

呆けしに

あらねど在りし日の

夫は

朝毎曜日を

吾に問いたり

 

 

 

彼岸にて

語り合えるや

亡き夫と

親しくありし

人も逝きたり

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

吹く風に

青田波立つ

さまをいう

都会より移り

住める少女は

 

 

 

 

採りたての

胡瓜の甘み

言い合いて

朝餉の席を

つぎつぎと立つ

 

 

 

 

庭石に

土の団子を

並べつつ

移り住み来し

幼子遊ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

勤めより

帰りたる子に

誘われて

見上ぐる夜空に

天の川あり

 

 

 

 

最後迄、お読み頂きありがとうございました。

 

*写真はお借りしたものを使わせて頂いております。