みかん(温州ミカン)は旬の時季を迎えておいしさを増し、豊富に含まれるビタミンCは風邪の予防にも役立つとされています。
みかんを食べるときには皮をむきますが、上の「ヘタ」が付いている側か、下のヘタの反対の「お尻」側からと、むき方は人それぞれだったり地域によって差があったりもするようです。そこでウェザーニュースでは、「みかんのむき方」についてのアンケートを実施しました。
むき方で多いのは?
アンケートでは、全国で約70%の人が「ヘタの反対側(お尻側)からむく」、と回答し、「ヘタ側からむく」は約30%と少数派でした。
みかんをヘタ側からむくかお尻側からむくかには、それぞれメリットがあるそうです。
それぞれの上手なむき方、さらにみかんに含まれる栄養分などについて、「三ヶ日みかん」の産地であるJAみっかび(静岡県浜松市)に伺いました。
「みかんにはビタミンCやβ-クリプトキサンチン、GABAなどの健康にいい栄養素がたくさん含まれています。ただし、みかんは外皮をむかないと食べられません。むいた後に皮と果実の間に残る白い綿状の部分(アルベド)が気になるという方や、うまくむけずに面倒に思う方もいらっしゃいます」(JAみっかび)
ヘタ側からむくメリットは?
みかんのむき方では少数派だったヘタ側からむく方法は、みかんのヘタの周りに爪を立てて穴を開け、そこから下へむいていきます。
「上のヘタ側からむくメリットとしては、『果心(かしん)』という実の中心の白く硬い部分を取りやすいことが挙げられます。また、アルベドなどの白い繊維状の組織も皮と一緒に付いて取りやすいので、アルベドの食感が気になるという方にはオススメです。
さらに、むいた後のみかんの皮を開いて皿がわりに使うことができ、見栄えがよくなるのもヘタ側からむいたときの特長といえます」(JAみっかび)
お尻側からむくメリットは?
多数派のヘタの反対側からむく場合は、少しへこんだ部分に指で穴をあけ、そこから放射状にヘタの方向へむいていきます。
「お尻側からむくメリットは、なんといってもむきやすさです。最初に穴を開けるときに勢い余って指を入れすぎなければ、手が汚れる可能性もぐっと下がります」(JAみっかび)
アルベドなどが残りやすいのも、お尻側からむく場合だといいます。
「どちらの方法でむいても、完全に取り除くのは難しいですが、お尻側からむく方が、果実に残りやすいです。アルベドには、冷え性を改善するヘスペリジンなどのフラボノイド化合物が豊富に含まれています。ヘスペリジンはビタミンに似た栄養成分で、毛細血管を保護して血管を強くしたり、脳卒中予防に効果があったりするといわれています。さらに発ガン予防効果についても報告されています。
アルベドも実の部分と一緒に食べたほうが健康によりよい効果が得られますので、食感が気にならない場合は、取り除こうとせずに一緒に食べることをオススメします」(JAみっかび)
和歌山では主流の皮ごと4分割する「有田むき」
同じお尻側からむく場合でも、和歌山県では「身ごと半分に割る」というむき方が主流のようです。
この方法は「有田(ありだ)むき」または「和歌山むき」と呼ばれる、「みかんを皮ごと4分割する」むき方です。まず、みかんをお尻側から半分に割り、それぞれをさらに半分ずつに割るというものです。
JAありだ(和歌山県有田川町)によると、和歌山県の中でも特に「有田みかん」の産地として知られる有田地域(有田市、有田川町、湯浅町、広川町)では、ほぼ100%の人がみかんを有田むきにしています。
「有田むきは農家の人が、収穫時期の休憩に水分補給のためにみかんを食べる時、素早く食べるのに適しているといわれています。早く皮がむけて、小玉のみかんであれば、4分割で食べる事が出来ます。
有田地域では昔から、みかんは皮ごと4分割して食べるものだと思っていたので、詳しい起源などはわかっていません。
みかんの皮はどのようにむいても、味に変わりはありません。ゆっくりむいて、味わいながら食べるのもいいと思います」(JAありだ)
みかんの旬は2月上旬頃までとされています。ヘタからでもお尻からでも上手にむけばみかんはおいしくいただけ、受験勉強の息抜きや栄養補給にも役立つ果物です。また、産地おすすめの「有田むき」を試してみるのもいかがでしょうか‥
引用
ウェザーニューズ