いよいよ迎えた2014年のスーパーGT最終戦。タイトル争いに大いに注目が集まるこのレースを


見届けようと、快晴の下ツインリンクもてぎに詰めかけた多くのファンが見守る中、13時に栃木県


警の白バイ、パトカー2台が先導しパレードラップがスタート。気温16度、路面温度23度という状況


でフォーメーションラップがスタートしていった。


 GT500クラスは、ポールポジションのMOTUL AUTECH GT-Rがきっちりとスタートを決め、S


Road MOLA GT-Rが2番手に続くが、波乱はその後方で1周目から起きた。4番手スタートで、ラン


キング首位のPETRONAS TOM'S RC Fと、5番手スタートのカルソニックIMPUL GT-Rが130R出


口で接触! カルソニックはS字でコースアウトを喫し、PETRONASはコース上に残ったもののフ


ロントをやや壊し、2周目以降ペースが上がらず。後方からKEIHIN NSX CONCEPT-GTをはじめ、


中団グループに詰め寄られる展開となってしまう。


 一方で、トップのMOTUL、S Road、そして3番手のウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは


序盤から後方に大きなマージンを築く。4番手集団はその後も波乱含みで、KEIHINが8周目に


PETRONASをパスするも、直後にKEIHINはトラブルが発生。ピットに入ってしまう。


 その集団の中で、グイグイとポジションを上げてきたのは、PETRONASのチームメイトである


KeePer TOM'S RC F。タイトルの可能性を残すアンドレア・カルダレッリがアグレッシブな追い抜き


をみせ、11周目にはPETRONASの背後の5番手へ。13周目にKeePerはPETRONASとのトムス勢


同士のバトルを制し、4番手に浮上していった。


 53周の決勝レースで、注目されたのはピット作業。ドライバー交代は当然全車が行わなければ


ならないが、タイヤ無交換という作戦を採りピット作業時間を縮めるのではないかという推測が


あったからだ。しかし、ポジションを上げ最初にピットに向かったKeePer TOM'S RC Fは4本交換。


その後も序盤の上位陣はいずれも4本交換を行っていった。


 しかし、レース中盤になると上位陣にトラブルが。2番手を争っていたS Road MOLA GT-Rは黄


旗中の追越があったとして、10秒のペナルティストップをとられてしまう。また、3番手を走っていた


ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTも、ピットイン時の再始動でストールを喫しタイムロスし


てしまった。


 一方でトップのMOTULは大きなマージンを築いていたこともあり、29周を終えピットに向かうとロ


ニー・クインタレッリから松田次生に交代。トップをままコースに戻っていく。2~3番手がトラブルに


見舞われたことでポジションを上げてきたのは、早めにピットインを行ったKeePer。そして関口雄


飛から脇阪寿一に交代し、タイヤ無交換作戦を敢行したWedsSport ADVAN RC Fが表彰台圏内


につけていった。


 これでKeePerにも逆転チャンピオンの可能性が浮上し始めたが、MOTULが首位のままならば


チャンピオンはMOTULのもの。息詰まる終盤戦を迎えたが、その背後で激しい表彰台圏内の戦


いを展開したのは、寿一のWedsSport ADVAN RC Fとミハエル・クルムのD'station ADVAN GT-


R、そして伊沢拓也のウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT。ベテランの技を駆使した見応え


ある大バトルを3台で展開した。


 トップのMOTULは、そんな争いを後目に完璧なレースで最後まで首位を守り、そのままチェッ


カー! 見事大逆転で新規定初年度となる2014年のチャンピオンを松田次生/ロニー・クインタ


レッリが獲得した。松田次生は悲願のGT500初チャンピオンで、マシンを下り思わず涙。クインタ


レッリは、スーパーGT歴代タイとなる3回目の王座獲得。ニスモのドライバーズチャンピオン獲得


は2008年以来となった。2位はKeePer TOM'S RC Fとなったが、チャンピオンには届かず伊藤大


輔/アンドレア・カルダレッリ組はランキング2位という結果となった。3位は、3台のバトルを制した


ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが獲得。伊沢拓也は代役参戦の仕事をきっちりとやっ


てのけ、3メーカーが表彰台を分け合う結果となった。D'stationが4位、5位はペナルティから追い


上げたS Roadという結果に。タイヤ無交換作戦を敢行したWedsSportは6位でチェッカーを受け


た。


 GT300クラスは、ポールポジションスタートのGAINER DIXCEL SLSがホールショット。OGT


Panasonic PRIUSが続くが、まだタイヤが冷えているであろう1周目の3コーナーで、ランキング首


位の片岡龍也駆るグッドスマイル 初音ミク Z4がプリウスのインへ。タイトルを確かなものとするべ


く、2番手に浮上していく。ただプリウスはペースが速く、ビヨン・ビルドハイムのGAINERの後方で


初音ミクZ4、プリウスのバトルが展開された。


 チャンピオンを争うGAINER、そして初音ミクZ4が上位を争う中、ランキング3位のStudie BMW


Z4は序盤中団での戦いを強いられる。しかし、いち早く14周を終えるとピットへ。荒聖治からヨル


グ・ミューラーに交代し、タイヤ無交換作戦で挽回を狙っていった。


 一方、後方からグイグイと順位を上げてきたのは、山内英輝駆る10号車GAINER Rn-SPORTS


SLS。首位のGAINER DIXCEL SLSと同じパッケージをもつ10号車は、序盤に早くも5番手へ。僚


友11号車の王座獲得をサポートするべく順位を上げていく。素晴らしいペースを披露した山内


は、24周目には初音ミクZ4をもパス。さらに、山内同様素晴らしいペースを披露したリチャード・ラ


イアン駆るAudi R8 LMS ultraも初音ミクZ4をかわしていった。


 ポジションを落としたグッドスマイル 初音ミク Z4は、26周を終えるとピットに戻り、片岡龍也から


谷口信輝に交代。一方、大きなマージンを築いたGAINER DIXCEL SLSは、28周を終えビルドハイ


ムから平中克幸へ。これでGAINERが首位を守り、一方の初音ミクZ4はチャンピオンの条件であ


る3位以上が必要に。速さをみせるGAINERの10号車、アウディらの動向に注目が集まった。


 しかし全車がピット作業を終えると、GAINERの11号車が首位、プリウスが2番手に。初音ミクZ4


が3番手という順位となる。ただ、初音ミクZ4の背後につけるAudi R8 LMS ultraがペースが速く、


さらにその後方にはGAINERの10号車が。谷口にとって、チャンピオンの条件である3位を守る戦


いがチェッカーに向けてスタートしていった。


 トップのGAINER DIXCEL SLSが完璧なレース運びで首位を守る一方、谷口駆る初音ミクZ4の背


後には、藤井誠暢駆るAudi R8 LMS ultraがヒタヒタと接近する。チャンピオン争いを左右する3位


争いにサーキット中が注目した。


 しかし、GAINER DIXCEL SLSが優勝を飾りOGT Panasonic PRIUSが2位でチェッカーを受けた


背後で、3位を守り切ったのはグッドスマイル 初音ミク Z4! GAINER DIXCEL SLSの平中克幸/


ビルドハイム組と谷口信輝/片岡龍也組が78点で同ポイントとなったが、優勝回数の差で谷口


/片岡組がチャンピオンに。ふたりはともに2回目のチャンピオンで、GOODSMILE RACINGにとっ


ては2011年以来の王座となった。Studie BMW Z4は最終的に7位でチェッカーを受けている。