昨日は話題の映画、オッペンハイマーを見てきました。上映時間が3時間と長くて途中でお尻が痛くなりました。この映画はオッペンハイマーの科学者としての苦悩を描くのが中心なのと監督が理解不能な(笑)あのクリストファー・ノーランで正直あまり楽しめる映画内容ではありませんでした。一体このシーンって何?という場面が度々ありました。ただオッペンハイマーが共産主義思想に共鳴していたことや割りと女性関係にゆる~い性格(笑)だったことを初めて知りました。
原爆投下に関してアメリカでは様々な理由付けがなされていますがオッペンハイマー自身もおそらくは製作した原爆の威力を試してみたいという科学者としての純粋な思いはあったと思います。ただしそれはあくまでもドイツに対してでした。
上映時間3時間のうち原爆の開発・実験の成功までを2時間、残りの1時間は聴聞会やら公聴会の中で不倫相手との私生活を暴露されたり、赤狩りの標的にされたりと主人公にはパッとしない展開のように感じました。これなら最初の2時間で充分かも?とは思いますがこの辺りがノーラン監督らしさなんでしょうか。
アメリカでの赤狩りの経緯はよく知りませんが当時共産主義思想は社会の矛盾を解決するものとして労働者はもちろん自由で進歩的な人々に受け入れられ、対象者は映画俳優や監督、あるいは作家や科学者が多かったようです。その後はソビエトの実態を知ってみんな幻滅しますが。(笑)
原爆開発をルーズベルト大統領に進言したのはアインシュタイン、製作したのはオッペンハイマーで共にユダヤ人です。日本にとって不運だったのは原爆実験が成功した1945年7月時点でヨーロッパ戦線ではイタリアとドイツは既に降伏し、投下する相手国が日本だけだったことです。
広島に人類史上初の原爆を投下したB-29、エノラ・ゲイです。アメリカは原爆とB-29に巨額の開発費用を投入し、奇しくもこの二つの新兵器によって太平洋戦争を終結させました。ただアメリカが戦争で勝利し、上手く統治できたのは日本が最後でその後介入した戦争の終結は全て上手くいっていません。
2016年に広島を訪れたオバマ大統領のスピーチの中でアメリカの原爆投下に対する立場の限界を物語る部分があります。それはスピーチ冒頭で原爆の投下を”death fell from the sky"(=死が空から降ってきた)とまるで自然現象的な表現をしているんです。大統領の立場としては”投下した”とは言えないんですね、でも自分はそこを突っ込むつもりはありません。
現職のアメリカ大統領が広島まで来てスピーチを行うこと自体が大きな決断だったと思います。いろんな意見はありますが”オバマよく来たよ!”というのが自分の感想です。おしまい。