先日のBSで”タクシードライバー”を放映していたので久々に観てみました。有名な映画ですのでご紹介というよりも自分にとって印象深いシーンを中心にアップしたいと思います。ベトナム戦争の帰還兵として描かれる主人公は不眠症に悩まされ、荒廃した祖国の現状を目の当たりにして言いようのない絶望感に襲われます。
トム・スコットが奏でる怪しげなサツクスのメロディと共に映画は始まりますがフロントガラスに広がる景色とバックミラーに写る背景を交互に交えることにより現実と幻想の境界を意図的に低くしているように感じました。このフロントとバックの組み合わせシーンは映画内では何度も登場します。
街中で見つけた大統領選のキャンペーン事務所で働く美女を口説くシーンです。彼女に向かって”君は孤独だ”と勝手に決めつけていますがこれは古今東西変らない口説き文句かもしれません(笑)。彼女に好意をいだいている事務所の男性が気にしている様子が画面の中で何度も見え隠れしていて面白いです。
上手くデートにまでこぎつけた主人公でしたがデートに誘ったのが何とポルノ映画(ありえね~!)でせっかく築きあげた関係は一挙に破綻してしまいます。自分は初めての彼女と映画に行ったのはこの映画でしたが今から思えば暴力や世の中の不条理を描いたこの映画を相手方が果たしてどう思ったのか?当時の自分は一緒にいることに夢中で思考回路が停止していました。(笑)
あるお客を乗せたら急に止めるように指示された場所は何と彼の妻の浮気現場でした。自分は最初にこのシーンを見た時はてっきり強盗かと思いましたが妻に殺意を持つ男性の異常さを上手く演じていました。このお客役こそ監督のマーティン・スコセッシです。
絶望感に苛まれながらも街中で発見した売春宿で働く少女を学校に戻るよう説得に乗り出します。自分はジョデイ・フォスターのこの何気ない朝食のシーンがいかにもアメリカらしい大雑把な雰囲気があって好きです。無造作にたっぷりとジャムを塗った上に砂糖をかけてますよ、砂糖です、あり得ません!(笑)
命がけで救うことが出来た少女の両親から感謝の手紙を受け取り、新聞にも美談記事として取り上げられます。ひん死の重傷から回復してタクシードライバーとして復帰しますがそこで偶然に破綻した女性を乗せます。ここでも彼女の大部分をバックミラーで登場させていました。
というわけで本日は思い出深い”タクシードライバー”のお話でした。おしまい。