カンボジア首相のフン・セン氏がその地位を自分の息子に禅譲し、アジアで北朝鮮に続く”世襲国家の誕生”へというびっくり仰天のニュースを知りましたので本日はそのご紹介です。カンボジアでは先月23日に下院総選挙(定数=125)が行われましたがフン・セン氏は有力野党を排除した為に彼の率いるカンボジア人民党が何と120議席を獲得したようです。フン・セン氏はポルポト政権下で軍司令官を務めていましたが1977年にポルポトと決別、その後一時的にベトナムに亡命していました。やがてカンボジアに戻って1985年に首相就任以来38年間、野党を排除するなど独裁体制を構築していったようです。そして今回の選挙後に自身の引退表明と首相の座を息子に禅譲を発表しました。

息子のフン・マネット氏の首相就任は8月10日の予定です。今回の総選挙中には何度も記者から質問を浴びましたが何も答えませんでした。

フン・セン氏の国家運営には中国の後押しが大きいです。今年2月には習近平氏を訪問していますが”経済支援”という名の武器で勢力拡大を図る中国の対外方針は不変です。国家運営に民主的なプロセスは一切不要なんですね、そもそも後押しする中国自体に存在しませんから。(笑)

中国外交部(外務省)の毛寧報道官は2月6日の定例記者会見で”中国はフン・セン首相の今回の訪問を契機に中国カンボジア運命共同体の構築推進においてさらに大きな発展を遂げることを願っている”とコメントしています。”中国カンボジア運命共同体の構築推進”って想像するだけでもゾッとしますが。

北朝鮮に続いてアジアで新たな世襲国家の誕生です。イギリスの歴史家、ジョン・アクトン卿の言葉に”権力は腐敗の傾向がある。絶対的権力は絶対的に腐敗する”(Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely)とありますが人間は一度権力を手にすると途端に変貌してしまうという例かもしれませんね。

と言う訳で本日は総選挙後の動向が注目のカンボジアについてのご紹介でした。おしまい。