明日はロシアのウクライナ侵攻からちょうど一年です。そこで今日はその侵攻が”まさかではなく、またかだった”過去の歴史を振り返ってみたいと思います。そのキーワードとなるのが”ホロドモール”と”チェルノーゼム”です。”ホロドモール”とは当時のソ連のスターリン政権による1932~1933年にウクライナで起きた人為的な大飢饉(原因は農業集団化と穀物の強制徴収)で数百万人の餓死者を出した事件です。一方で”チェルノーゼム”(=黒い土)とはウクライナに分布する肥沃な土壌を指し、ドニエプル川の豊かな水源にも恵まれてウクライナは世界有数の穀倉地帯となりました。1941年6月に勃発した独ソ戦はドイツがウクライナの穀倉地帯を確保する為に仕掛けた戦争でした。このようにウクライナは常に大国の間での分捕り合戦に晒されてきた地域です。ソ連邦崩壊後には独立を果たしますが欧米寄りの政権と親ロ政権の間で毒殺まがいの抗争が絶えません。豊かな土地に恵まれたことがウクライナの悲劇を生んでいる事は真に皮肉な結果です。地図を見るとドニエプル川がまるで農業用水路のように国土の中央を流れています。
下の地図は世界に分布する土壌の種類を色分けして示していますがこの中でもっとも肥沃な土壌である”黒土”でしかも水資源が確保されて穀倉地帯となったのはウクライナの"チェルノーゼム"、アメリカの中部の”プレーリー”、アルゼンチンの”パンパ”などごく限られた地域です。
ウクライナの国旗は大地の小麦と青い空をモチーフにしています。
どこまでも続く小麦畑と青い空。早く紛争が終結して国旗に象徴される日常が戻ってほしいです。
おしまい。
昨年6月にご紹介した映画、”赤い闇”はウクライナで起きたスターリン時代の大飢饉”ホロドモール”を描いています。映画はユーチューブ上で無料公開されていますのでご興味ある方は是非ご覧ください。