今週はブランフォードの弟、ウィントン・マルサリスを紹介します。ウィントンもクラシックとジャズの二刀流ですがデビュー当時(1980年代前半)日本のジャズファンの間で賛否両論、喧々諤々の論争(?)が巻き起こりました。当時は二刀流というのは珍しく、本格的に両方できる演奏家はウィントンが初めてだったからです。それまでのジャズプレーヤーはハチャメチャな人生を送る者が多く、酒や麻薬あるいは女に溺れるものが当たり前でした。そんな中でジャズもクラシックも演奏出来るという優等生のようなウィントンに対して(おそらくやっかみ半分で)”アドリブがつまらない”とか”音数が多いだけ”とか批判的な論評も多かったのです。しかし冷静に考えればクラシックもジャズも便宜上ジャンルを分けただけの話で何をやろうがそれは演奏家の自由だし、クラシックの技法がジャズにおいても有用な事は明らかです。というわけで当時の論争は最近すっかり下火になりました。現在ウィントンはニューヨークの”Jazz at Lincoln Center Orchestra”の音楽監督として活躍しています。
まず最初はクラシックを演奏するウィントンです。自分はクラシックに詳しくありませんので曲の紹介はできませんがどうやら”ハイドンのトランペットコンチェルト”のようです。ただ題名を読んでるだけですが(笑)
次はウィントンが率いるオーケストラに往年の名サックス奏者、ウェイン・ショーターを招待して彼の作品である”Yes or No”を演奏している映像です。兄弟ともにこの曲がお気に入りのようで、先週紹介したブランフォードの演奏と同じ曲なので比較して聞いてみると面白いです。
最後にウィントンの超絶技巧が冴えわたる”Cherokee”です。この曲はチャーリーパーカーの演奏が有名ですが時代の変遷に伴って新たなプレーヤーが演奏する事で伝統を引き継いでいく事になるんだと思います。ところでこの曲、実はBメロの部分が結構難しいんですけどウィントンにとってはAもBもありませんね。(笑)
おしまい。