北条早雲に始まる北条五代に亘る歴史小説。火坂雅志さんでスタートしたが途中で亡くなられたので伊東潤さんがその続きを引き受けるという珍しい形の小説だ。途中で作家が変わると雰囲気が変わってしまうのかと思いきや最後まで違和感なく読むことができた。北条氏については秀吉に滅ぼされたということもあり、どちらかと言うとイメージは薄かったが戦国時代において関東の覇者であることは間違いない。面白かったのは上杉謙信が常に悪役として登場しているところ。北条氏を主人公にするには敵対する相手を悪役にするしかないのだろうが謙信は一般的にとても人気があるので北条氏側から”悪役”として見るいう新たな視点を発見できたことは良かったと思う。上下の二巻で完結となり、飽きっぽい自分(笑)には分量的にもちょうど良かった。
おしまい。