9月28日(火)知事答弁(3) | 石田ひろし オフィシャルブログ「ひろしの日記 絆」Powered by Ameba

9月28日(火)知事答弁(3)

石田質問

 次に、カーボン・オフセット事業について伺います。

 この事業は、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう努力し、どうしても排出される温室効果ガスについては、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資することにより、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方であります。カーボン・オフセット事業をチャンスと捉えるかどうかが問われてくるものと思います。

 秋田県は、雄勝郡内に所有する県有林四〇ヘクタールをオフセット・クレジット制度を活用した森林整備を推進するため申請し採択されたところでありますが、県内では、このほか、八峰町と大館北秋田森林組合の二件が採択となっております。このうち、大館北秋田森林組合では、森林の間伐により削減した温室効果ガスの価値を、秋田銀行が社会貢献活動の一環として購入し、役職員の名刺作成の際に発生するCO2と相殺する取組も始まるそうであります。

 森林面積全国七位、杉人工林面積全国一位を誇る秋田県としては、取組が進んでいるとは言えないのではないでしょうか。県が市町村や森林組合に呼びかけ共同で取り組むべきと考えますが、知事の考えをお伺いします。

 また、宮城県と福島県は木質ペレットストーブの使用が採択されております。これは県産の木質ペレットを従来の石油やガスの代わりにストーブ燃料として利用することによって削減できる二酸化炭素の排出量を企業などに買ってもらい、その販売益をストーブを使っている皆様に還元していくシステムと言われております。クレジット事業でペレットやストーブがさらに安くなるなら購入したい県民は多いのではないでしょうか。

 オフセット・クレジット制度を活用するに当たり、森林組合やペレットストーブ・ペレットづくりに力を入れている大館市などと協力して取り組まなければ効果が上がらないと思いますが、これまでどのような協議をしてきたのか、お伺いします。

佐竹知事答弁

 森林整備を活用したオフセット・クレジット制度につきましては、六月から主な市町村や森林組合に出向き、同制度の啓発を行ってまいりました。

 その結果、最新の状況を申し上げますと、国の支援事業は第三次採択まで至っており、県内では、羽後町で実施する県事業のほか、上小阿仁村、八峰町、秋田市、大館市の合計五地区、七八七ヘクタールで、森林整備を活用したプロジェクトを進めております。

これまでの全国の採択数は四三地区で、本県は北海道に次ぎ、二番目に多い地区数となっております。

今後、県のモデル事業の進捗に合わせ、二酸化炭素吸収量の算定に必要な現地モニタリングや、第三者機関による調査など、制度の仕組みや課題を検証するとともに、県と市町村、森林組合との共同実施の可能性についても、検討を進めてまいります。

 また、木質ペレットを活用したオフセット・クレジット制度についても、シンポジウムや研修会を開催しながら、情報提供に努めております。

 さらに、木質ペレットの利用を進めている大館市などに対しては、制度の活用に向けた支援を行っているコンサルタントへの橋渡しをするなど、積極的に協力しております。

 オフセット・クレジット制度は、地球温暖化対策としてだけではなく、林業の活性化や木質資源の有効活用にもつながることから、引き続き、市町村や関係団体と協力し、県内への定着に努めてまいります。」

石田質問

 次に、高齢者福祉について伺います。

 最近高齢者の所在不明問題がクローズアップされており家族のきずなについて考えさせられたところでありますが、高齢者世帯は年々増えております。過去五年の平均で、高齢者のみの世帯は毎年約三、〇〇〇世帯、うち高齢者の一人世帯は約二、〇〇〇世帯増え続けているのです。この中には老老介護、病気で入院、あるいは認知症の症状が見られるなど、年金生活の中で生活が困難な方が増えていると思われます。役所から送られてくる納税通知をはじめ年金から天引きされている内容も理解できない、生活支援制度も知らない多くの高齢者がいると推察できます。行政機関から届くほとんどの書類は、小さな字で書かれており、あまりにも行政が不親切であると痛感させられます。

 敬老の日に高齢者が子供や孫に望むものは「電話がほしい」が一位だそうであり高齢者は孤独な生活を送っているのが現状といえます。さらに県内の上半期の自殺者は減少しておりますが、七十代は大きく増えていることから高齢者支援が弱かったのではないかといわれております。

 年々増える高齢者世帯のことを考えると、県と市町村が協働事業として各世帯を訪問し、状況を把握した上での生活支援対策が求められると思います。孤独死を心配しなくてもいい、ひとりひとりが大切にされる地域社会を構築していくことが大切であります。

 このような高齢者世帯の現状をどのように認識されているのか、また、将来に向けて、国の制度から一歩踏み込み、市町村や企業などとの連携による、県独自の、いわば「秋田方式」といえるような高齢者対策が必要だと思いますが、知事の考えをお尋ねします。

佐竹知事答弁

国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の都道府県別将来推計人口」によりますと、団塊の世代が六十五歳以上となる平成二十七年には、県民の三人に一人は高齢者になると推計されており、高齢者のみの世帯や、ひとり暮らしの高齢者は増加すると予想されます。

 このため、県では、高齢者が住み慣れた地域において安全で安心して暮らしていけるよう、市町村の地域包括支援センターの運営や介護予防事業の支援を行うとともに、特別養護老人ホームなど介護施設の整備や、認知症サポート医の養成などの事業を実施してまいりました。

 さらに、今年度から、老人クラブが行う訪問活動への支援や認知症コールセンターを新たに設置するなど、その充実強化に努めているところであります。

 高齢化率の高い本県にとって、高齢者福祉対策は、極めて重要な施策であり、今後とも、地域の支え合いやコミュニティづくりなど、国における給付を主体とする事業以外のソフト事業について、知恵を絞りながら、全国のモデルとなるような有効な施策を展開し、高齢社会に対応した地域づくりに努めてまいりたいと考えております。」

石田質問

 次に、公契約条例についてお伺いします。

 昨年千葉県野田市は九月定例市議会に、市発注の公共事業や業務委託に携わる民間労働者の賃金水準を確保するため市長が定める最低賃金以上の給与を支払わなければならないとした公契約条例案を提出、市議会の可決を経て今年度から施行されております。

 私どもは、仕事が少ないからと競争が過熱し、採算を度外視して工事を請け負う業者がいるなら「結果として下請け業者の体力を弱体化させ、労働者の質の劣化をもたらすことにつながる。官製ワーキングプアと言われる状態を行政が作り出すことは、労働政策上好ましいことではなく住民に対するサービスの低下につながる」と考えます。

 以上から、私どもはこれまでも数回にわたり、指定管理者制度が導入された時も数年ごとに解雇される心配を持つのは精神的苦痛以外の何者でもないもので、秋田県も公契約条例を導入し、県民が安心して働けるシステムを作るとともに、国に法律の制定を働きかけるべきと取り上げてきたところであります。

 今日、全国的に自治体の動きをみると公契約条例について検討しているところが増えていると考えるものであります。現在パブリックコメントを行っている川崎市と国分寺市が十二月定例会に提案見込みとも伺っております。

 今後広がりを見せる公契約条例について県下の現状を見るときに、できるだけ速やかに検討し「公共事業や業務委託の品質の確保に努め業務に従事する労働者の労働条件の確保、事業者の社会的価値の向上に」努めるべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。

佐竹知事答弁

県ではこれまで、公共工事の品質確保や技術力と経営力に優れた地域企業を育成するため、低入札価格対策をはじめとする、入札契約制度の改善などに積極的に取り組んでまいりました。

 その結果、県発注工事における平均落札率は、平成十九年度の八三・一パーセントに対し、平成二十一年度は九〇・三パーセント、今年度においても九〇・四パーセントと、一定の水準となっております。

また、労務費調査等における本県の普通作業員一日当たりの平均賃金は、公共工事に使用する設計労務単価の基本日給相当額一万一、一一五円に対し、月給制で約一万一、○○○円、日給制で約九、○○○円となっております。

このようなデータによれば、公共工事が、官製ワーキングプアを生み出している状況にはないものと考えております。

 公契約の条例化については、野田市や川崎市の例においても、現行法令との整合性から、その効力は限定的なものと受け止めており、実効ある条例とするためには、国における法体系の整備が先決と考えております。

 今後も、現行制度の活用を通じた、きめ細かい対応により、公共工事における適正な労働条件の確保に努めてまいります。」