私が夕飯は一緒に食べずに帰ると伝えたら
母は「もちこちゃんの分も事前に頼んどくんだった、
どうしてお願いしとかなかったのかしら?
私ったらどうして気付かなかったのかしら?」
と半べそ。
まあ、気付くのは不可能な状況だったんだけどさ。

 

「私の分半分あげるから隣で食べればいいじゃない。」
「私がお金払うから。」
「それか私が外に出るから、外でご飯を一緒に食べよう。」
など、絶対に私を帰したくないようだった。

 

「私がここの人に頼んでみるから!それくらいさせて!」
といって部屋を飛び出していったが

ちょうどホーム長が迎えに来てくれたところらしく
「同じテーブルの方をご紹介しますからね、ダイニングに行きましょう。」と。

 

私は自分の荷物を持ち、一緒に向かった。
 

今思えば、そのまま母がダイニングへ入ったところで
私は入らず、帰ってしまえば良かったのだけど
親心的な?娘心が働いちゃって
同じテーブルの人にご挨拶をと思って
一緒に入ってしまった。

 

そこからはもう悲しい悪夢だった・・・。

 

母は一生懸命同じテーブルの人に
おべっかを使ってた。
彼女なりに溶け込もうとしたのだろう。
その健気な一生懸命な空回りする姿を
見守った。
そして私も、母をよろしくお願いしますとご挨拶し
「じゃあ、私帰るからね。」と母に言ったら
私の手をぎゅっと握って離さず
「嫌よ、ここで一緒に食べよう!」
と泣き出してしまった。

 

ホーム長がいろいろと声をかけてくれるが
母には全く届かない。
同じ席の人たちは驚いてしまっている。
最終的に「じゃあ、そこまで送る!」と。

 

隣の席の方が母に声を掛けてくださった。
「あら、今来たばかりなのにもう帰っちゃうの?」
母は見栄っ張りで、さらにかまってもらいたがりなので
「すぐ戻ってきます。」とその人に返事していた。
私は心の底からその方に「ありがとうござます。」と
頭を下げた。

 

母と私は手を繋いだまま玄関まで行った。
母を抑えるためにホーム長さんも付いてきてくださった。
外はすでに暗くなっていた。

 

「それじゃあね。」と私が言うと

なぜか母は私に謝った。
「ごめんね、もちこちゃん!」
「ごめんね、こんな暗い中、一人で帰して!」
「ごめんね、もちこちゃん!!本当にごめんなさいね!」

 

ホーム長はしっかり母の手を握っていてくれた。
母が私と一緒に出ていかないように。

 

ホームから最寄りの駅まで10分強
私はずっと泣きながら歩いて帰りました。
むしろ暗い夜道で都合が良かったな・・・。