7月1日より「山開き」が行われた富士山。今年から入山料の徴取と「弾丸登山」禁止を目的とした深夜早朝の入登山禁止が図られてにも拘らず、すでに外国人登山者を中心に5名の遭難死が相次いでいる。

 

日本に於ける登山客の遭難救出については、個々人が掛ける「任意保険」により、救出に伴う救助人員の日当支払いやヘリチャーター料を、賄われるのが一般的だ。だが、富士登山に関する外国人登山者の救出・遺体搬送は事実上税金で賄われているのが実情。

 

この状況にアルピニスト・野口健さんは自身のSNSで「遭難者本人や家族に、高額の費用を請求すべき」と主張しているが、恐らく効果はないだろう。史上最安値を記録し、政府日銀も是正の姿勢を示さない円安を背景に、「遭難救出の費用位安い物。簡単に払えるさ。」と開き直り、法を犯しても富士登山を辞めない外国人登山者が、後を絶たないだろう。

 

富士山は「世界遺産」である。その「世界遺産」の中で、日々不法行為が行われる異常事態は言い換えればローマの古代遺跡コロッセオの中で、毎日ヨーロッパチャンピオンズリーグの試合が行われ、片付けや清掃すら行われない状況に例えられるだろう。

 

国際的な富士登山の約束・入山者への規制取り決めがされない現状、学術目的・学校行事・歴史的背景でない富士山登山は、一切認めないとする事を真剣に決めた方がいい。山小屋に勤務する人達の生活資源をどうするかなど問題はあるが、現状を放置することなど看過できない状況にある。

 

世界最高峰チョモランマなども、極めて高い入山料に加え、厳しい装備準備などを要求する事で、入山パーティ数の規制の役割を果たしてると言っても、過言ではない。スイス・マッターホルンやモンブランへ登山を希望する者は、事前に技能判定のテストを受ける義務があるそうだ。富士登山再開に当たって、こうした厳しい入山規制を加える事で、遭難事故を完全とまではいわないが、ド素人の遭難騒ぎは無くなるだろう。

 

日本政府は、直ちに、学術目的外の富士登山全面禁止を法制化すべきである。