任期満了に伴う東京都議会選挙は、昨日投票が行われ、現職・小池百合子氏が290万票余りを獲得して、3期目の都政を担当する事になった。

 

事前の世論調査で「小池氏優勢」の各メディア報道もあり、対して驚く内容ではなかったが、今回の都知事選で最大のサプライズと言えば、前安芸高田市長であった石丸伸二氏が、野党統一候補の蓮舫(村田蓮舫)氏を超え、160万票余りを獲得した事である。

 

ふと半世紀近く前、世界都市博の開催是非を巡り、当時自民党系の鈴木知事と野党系候補者が舌戦を繰り広げる中、ダークホース候補と揶揄された青島幸雄前参議院議員が、与野党候補者を押さえ「サプライズ当選」したことを思い出した。正に良識ある「無党派層の反乱」と言うべきものだったが、今回は情勢が全く違う。

 

それを如実に表したのが、日本の裏側・フランスで実施された国民議会第1回投票の結果である。マクロン大統領率いる与党中道左派連合が伸び悩む中、「狂犬」と揶揄され史上初の20代首相の誕生かと目されたバルデラ党首(28)が率いる「極右政党」の「国民連合」が、第一党を伺う支持を集めた事である。

 

いわゆるグローバル化の中で「社会的に孤立」し「経済的に置いてけぼり」を食らった中間層の不満を、過激な政治的アジテーションを駆使して煽って支持を拡大させた。我国で言うところの「日本維新の会」「都民ファーストの会」手法と全く同じだ。

 

今回の都知事選の各候補者の政治姿勢を分析すれば、小池・石丸両氏ともに「極右」であり都民有権者はこぞって「極右」支持を示したと言って良い。一部の欧米メディアは、

 

~日本政治は、戦後最大の転向期を迎えつつ会える~

 

と都知事選結果を受け、東京から特電を打った。青島氏のサプライズと違い、仮に石丸氏が当選していたとしても、所詮学級会選挙の「好き嫌い」だけの判断でしか東京都民有権者が自身の首長を選べない「幼稚な民主主義」を、図らずも示してしまった。

 

今朝発表されたフランス国民議会選挙の決選投票では、マクロン氏率いるリベラル勢力が盛り返し、政治的偏りにブレーキが掛かった。欧州の伝統的な「政治的バランス」を重んじる考え方が働いた結果である。安倍政治以降日本で顕在化する「滑り台的政治志向の偏向化」とは大違いだ。

 

もう少し東京都知事選で「賢い有権者」の判断が期待されたが、経済氷河期化の一方で、日経株価だけヒートアップする東京の有権者は「利己主義の塊」でしかなかったことが、今回の都知事選の結果で良く解った。

 

賢明な世界市民は、東京都民とあまり付き合いを持たない事が、自身の身を落とさずに済む事なのかもしれない。

 

最も、小池氏の前任都知事の石原・舛添・猪瀬の三都知事が、相次いでスキャンダルで都知事辞任に追い込まれている。小池氏がいわゆる「神宮外苑再開発問題」「東京オリパラ開催ウラ金疑惑」で、4人目のスキャンダル辞任に追い込まれる可能性を孕んでいる。小池氏が何時「辞任会見」を開いても、決しておかしい出来事と、ワタシは思わない。