旧優生保護法の下で強制不妊手術を強要された関係者が、「旧優生保護法による不妊強要は、憲法違反である。」とし、全国5ケ所で起こされた集団訴訟の合議審で、昨日午後、最高裁判所大法廷(裁判長・戸倉三郎最高裁長官)は、「旧優生保護法下で行われた不妊強要は、被害者の基本的人権を著しく踏みにじった憲法違反事案である。」とし、政府に対して賠償を命ずる画期的な判決を下した。

 

特筆すべきはいわゆる除訴期間(旧民法下で不法行為から20年過ぎた事案に関しては、損害賠償請求権が消滅するとした規定。2020年の旧民法改正で『個別事案によっては除外される』とされた『時効』に改定)に関しても「著しく正義・公平に反し、当該対象者が重大な被害を受けた本事案は対象外」と断罪。国の不法行為を認定した。

 

確かに、いわゆる「小泉ハンセン氏病政断」以降、過去の国家による不法行為を旧民法規定外で救済しようとする動きはあったが、世界市民によるいわゆる「国家の犯罪」を見逃さないとする世界的潮流も、今回の判決の底流にあったのではないか。

 

ヨーロッパでは、旧ナチス政権による新たに発覚した人権蹂躙事案に関し、欧州司法裁判所が四半世紀の時を超え、現ドイツ政府に賠償命令を出すなど「国家による重大犯罪を、時効を盾に見逃さない」とする動きが、顕著に見られる。

 

日本の法曹界も、その潮流を無視出来ない・・・そういうメッセージを込めた判決ではなかったろうか。しかし、ようやく日本の司法も、国際レベルに追いついた画期的判決だ。

 

それに引き換え永田町の吾人は、各メディアの囲み取材で当該判決を問われた際、人ごとの様に2~3コメントを短く述べて、サッサと消え去った。こういう「ヤカラ」が居続ける政府に、重大人権蹂躙事案と認定された当該事案を、解決できる能力はない。