全国で、公共交通網の大規模な縮小の波が止まらない。大都市圏である横浜市の市営バスも今月から400便近くのバス便が減便され、更に一部報道によると、市営バス乗務員に対して夏休み返上で勤務した者に対し、一日当たり1万円最大で5万円を支給とのほうどうがある。報道を見る限り、確かに横浜市関係者の主張通り労働基準法などに抵触するかの性は低いが、一部のバス乗務員からは、

 

「なんだ、俺たちの仕事は一日一万円としか見られてないのか(怒)」

「翌月に即支給だと思ったら、期末賞与に加算だって?税金引かれるから詐欺じゃん。」

 

といった問題視する声が挙がっている。

 

JR東日本の「しれっとコストカット」閉鎖騒動の余波も、いまだに続いている。県立高校が存在し多数の通学生が居る私の街の「みどりの窓口」も、この3月に閉鎖された。出改札だけの職員に縮小されたと思いきや、この6月から、急遽自動予約券売機の操作を案内すると言う職員が急遽派遣されたと言う。「みどりの窓口」閉鎖の効果は、単に騒動を引き起こすだけだった。

 

前出した県立高校のPTAからは「通学定期券はJR東日本の『えきねっと』では事実上買えない。いますぐ『みどりの窓口』を再開して欲しい」との請願書が埼玉県知事出された。「通勤ライナーを走らせて一儲けしよう」と朝の通勤時間帯に快速を全廃した京葉線では、燃える男・森田健一千葉県知事を始め京葉線ユーザーに袋叩きに会い、とうとう9月から朝の快速運転が再開されると言う。

 

かつて進められた中曽根・土光臨調路線の大きな弊害が、今各地で噴出して騒動を巻き起こしている。経済が上向き状況の中では、公共インフラが民営化されても代わりとなり得る可能性はある。しかし、今日の様な少子高齢化と低成長経済の中で、いわゆる「民営化路線」は、単なる「消費者普段増」を強いるだけの口実に過ぎない。

 

かつての「国鉄」「郵政」「電電公社」も、要するに民営化すれば、一部の受益者だけ得をするインフラ網の全国的サービスレベルの充実を図るものであったと言え、事実北は北海道から南は沖縄の離島にいたるまで、国民は充実し公共今日インフラのサービスを、全国どこで設けられた。

 

だが、いわゆる「民営化をもてはやす流れ」により、地方のインフラが崩壊し、そうした人が都市部目掛けて押しかけて来た。その流れは、今や東京・大阪などへと極端化している。一方地方では、見捨てられたことへの腹いせに、都心からの移住者の受け入れを拒否したりいわゆる「村八分」状態にして、追い出す動きも顕著にみられる。そして、都市の国民と地方の国民との間に、大きな溝が生まれ、埋め難い「考え方の違い」も広がっている。

 

「絆」「絆」と世間で声高に言われるワリに、日本人各々の「絆」の溝は年々拡大を私鉄ばかりだ。その最大の原因は、「官がおいしい所トリばかりをして、貧乏くじを民に押し付けた民営化路線」だといわれる。曰く「大きな公」が失われた結果とも表現される。

 

「国鉄」「郵政」等、国家のプライマリバランスを脅かすとやり玉に挙げられ、民営化した後に、国の財政は黒字に転換したか?というと未だに「真っ赤っか」、日本共産党も顔負けの「赤」字垂れ流しぶりだ。やれ高齢化がどうの、やれ少子化によって税収減だのウソは聞き飽きた。要するに、自分達の私腹を肥やし、都合が悪いところは増税と民営化路線で始末すると言う自民党政治の「失われた30年」であり、IT経営者がの祖片棒を担いでこれまた私腹を肥やし続けて来た訳だ。

 

アメリカの大恐慌時代、時の大統領フランクリン・ルーズヴェルトによる「ニューディール政策」により、今の日本同様危篤状態だったアメリカ経済を、何とかICUから脱出させることに成功した。この類の話をすると、良く新興経済主義者や労働貴族で構成された政党辺りから「バラマキは国を亡ぼす」と揶揄されるが、自身が主張する「小さな政府」でこの30年何が出来たと言うのか?。円が急落した昨今も、為替是正へ市場介入した金額は、僅か10兆円。世界のヘッジファンドの資金はその10倍。やる事がしょぼすぎる。

 

いまこそ「大きな公」の出動の番だ。利己主義者・偏向主義者(変質者?)によって歪められた、1960年代の「豊かに伸び行く日本」の姿の後押しをしたのが、強力な公の指導力であった。そうした「志ある大きな公」を取り戻す事こそ、今の有権者にとって、恐らく今年中に行われるだろう総選挙の、争点になる事に間違いない。