今週日曜(26日)の読売新聞・朝刊1~2面にかけ、慶應義塾大学の細谷雄一教授(国際政治学)が、「86年前の教訓・小国犠牲の和平・対戦を招く」と題し寄稿した。

 

その中、ナチスドイツのアドルフ・ヒトラー総統とイギリスのネビル・チェンバレン首相との間で、1938(昭和13)年交わされた、チェコのドイツ系住民が多数を占める「ズデーデン割譲」を取り上げ、

 

「戦争に巻き込まれたくないチェンバレンの身勝手な思惑で小国が犠牲になる事は許されない。ロシアによる、ウクライナの蹂躙を許すなかれ。領土尊重の規範を守れ。」

 

と訴える内容である。その一方、今朝NHKを始め主要メディアは、北欧3国がパレスチナを国家として承認したと伝えた。

 

果たして、細谷教授はパレスチナの北欧3国による国家承認を、自らが新聞紙面上で主張した内容に准ずる話として支持するのだろうか。

 

欧米主張の追従である考えが主流の慶應義塾の考えでは、到底受け入れ難い出来事であろう。しかし細谷教授が新聞紙面上で主張した内容に、パレスチナの国家承認は準ずる。

 

同様に、台湾の独立主張も国際社会内で尊重されるべきだ。中国を始め、欧米各国が自らの政治的思惑だけで、極めて不当な国際情勢で虐げられるのは、市民社会の国際正義の視点から見ても、許し難い事実である。

 

今から百年以上前の1919(大正8)年、第一次時世界大戦の講和会議である「ヴェルサイユ会議」の中で、当時のアメリカ・ウイルソン大統領が「民族自決主義」を唱える。それは、大戦下彷彿として湧き起こった民族の自決権に寄り添ったものだった。

 

ならば、パレスチナ・台湾にも「民族自決権」が認められるべきである。民族的アイデンティティが、国際社会の中で尊重されるべきではないのか。ウイルソンの考え方は否定されるも、冷戦終結後、中欧や中央アジアでチェコやソ連の衛星国家が、相次いで独立し、承認された事を考えると、パレスチナ・台湾の独立は早急に認められるべきだ。

 

そしてパレスチナ・台湾と共に、今こそ「民族自決主義」に目覚めるべき地がある。それは何と日本の国内にある。琉球(オキナワ)である。

 

江戸時代末期、当時の薩摩藩の侵略により日本へ組み入れられ、太平洋戦争で日本唯一の地上戦場となり、戦後長らくアメリカ統治を強いられ、冷戦下「不沈空母」として中露の最前線基地となった沖縄。

 

占領下、不当に占拠された続ける沖縄住民の先祖伝来の土地。沖縄が日本へ返還後も米兵による犯罪は「日米地位協定」により不問とされ、沖縄・・・いや琉球の「民族自決権」は奪われ、今も虐げ続けられている。

 

沖縄には、今も少数ながら「琉球独立」の運動を続ける識者や世界市民がいる。それは正に「民族自決権」の正当な主張であり、細谷教授が新聞紙上で主張した「大国の身勝手な思惑で、小国の犠牲は許されない。」という主張に准ずる。

 

パレスチナ・台湾・琉球(オキナワ)の民が、世界市民の導きにより、国際正義の下で正当な扱いを受けられるよう、祈らずにはいられない。