今朝、ヤフーニュースなどネット系サイトに、思わず考えさせられるニュースが掲載された。

 

1967(昭和42)年に神奈川県座間市で開業した、神奈川県下屈指の銭湯・老舗であった「亀の湯」が、今月30日で窯の火を落とす。

昨今の後継者不足・燃料高騰や来客数激減による経営難の話ではない。「亀の湯」正面に張られた「閉店のお知らせ」には「一部利用客による備品の盗難・相次ぐ敷地内への不法投棄・相次ぐカスハラ」等で、経営継続の意欲を失ったと記載されていた。

 

思えば、私も普段は公共交通の一翼を担う一員だが、ここ1~2年降車時に「ありがとうございました」という乗客が、急速に減っていると感じる。年齢に関わらずだ。小学紙などの学生は、公共交通を利用して降車した際に「ありがとう」と言うが、その人達が大きくなって、不愛想・不機嫌そうに何も言わず仏頂面で過ぎ去っていく。要するに、小学生などは、学校から「強制的に言わされてるに過ぎない」のだと最近強く感じる。

 

社会に出て各種職業で「奉職した」私だが、この10年で急速に進んだと思う事がある。それは「日本人全体が『幼稚化』『厚顔無恥化』した」と強く感じる事だ。

 

「銭湯」など公のものを利用する際は、他人に迷惑を掛けず、利用させてもらった後は感謝の気持ち伝えると同時に整理整頓するのが常識だった。

 

それがいわゆる「インバウンド」の急速な進行により、「カネを払えば、自分が何をしようとサービスしてもらうのが当然」という考え方が、急速に日本人に広がって日本人の幼稚化を進めたのではないか。長らく不況で我慢を強いられるの多い日本人が、外国人旅行客の傍若無人さを見て「カネさえあれば、自分が何をやっても非難されない」と勘違いし、愚かな行為へ誘ってるのはないだろうか。

 

日本という国を各種形容する言葉はあるが、一番大切にしたいと思う日本を形容する言葉とは「礼の国」。武道の試合で、勝ち負けより重んじられてるのが、対戦相手との礼である。勝ち負けだけが注目される欧米のスポーツ競技と違い、戦う自らの礼節に問いかけ、自分と戦う相手への礼節を重要視する武道は、日本という国が、精神的に「先進国」であることを世界に示している。

 

そういう日本を「先進国」たるに引き揚げた「礼節」が失われることは、日本が「後進国」へ転落する事を如術に示している。事実日本の「先進国転落論」が論じられる昨今だが、経済的規模だげ注目するのでなく、世界唯一無比の日本の「礼節」の喪失が急速に進んでいることを論じられない事こそ、日本の「先進国転落論」の根本にあるのではないか。

 

「礼節」を失い「先進国」から転落し、この国がかつてのローマ帝国が如く滅んでいく姿を、しかと見つめていこう。