静岡県の川勝平太郎知事が辞意を表明し、その会見の中でリニア開業延期を自身の政治成果と主張したことに、愛知県の大村秀章知事が嚙みついたと言う。

 

リニア中央新幹線建設を巡る、地方首長の攻防。リニアで多額の恩恵やお手盛りを受ける愛知県とは異なり、僅か20数キロしか県内のしかも山岳部しか通らず、加えて大井川水系の一部の地下水の出水が、リニア工事で止まり、場合によっては島田市や静岡市を含む大井川広域水道の取水に影響が出兼ねない静岡県の苦悩を、殆どのメディアは伝えていない。

 

人工が急減し、加えてリモート社会が広がりを見せインフラ利用による人流が急速に萎むで、一説によると片道4万円もするリニア中央新幹線に誰が乗ろうと思うのか。せいぜいインバウンドの大金持ちが、喜んで話のネタに乗るにしか過ぎない。

 

しかも、名古屋ー大阪間のリニア通過ルートについては、国立公園たる鈴鹿山脈をぶち抜く必要があり、計画は遅々として進まない。北陸新幹線に関しても、敦賀ー大阪間ルートに関して京都両丹波ルートの一本化が出来ないところへ、今度は米原廻りで、東海道新幹線への合流案が飛び出すなど、全く「我田引鉄」状況と化している。

 

「インフラの整備」とは、原則的にインフラの恩恵に浴しない地域の救済が目的であり、東海道新幹線・東名&新東名高速・航空路線が整備されてる東京ー大阪間に、なぜリニアが必要なのか説明に苦しむ。

 

しかも、リニア整備後に、必ず「東海道新幹線存廃論」が起きること必至である。北陸新幹線開業時に、在来線が切って捨てられたのと同様にである。

 

リニアの恩恵やお手盛りに浴さず、しかも大井川水系で起きている渇水の異変ばかり押し付けられる静岡県の知事としては、愚痴どころかブチ切れたくなるのは当たり前である。それを「国家への反逆者」「変人」と扱うのは如何なものだろう?。

 

川勝知事は、来るべき将来に於いて静岡県民が被るであろう負の遺産を食い止めんがため、嫌われ者になってもそれを阻止しようとしてるのではないだろうか?。日本が、東京圏・大阪圏・名古屋圏へと極端な集中をする中、窮する地方の代弁者であるのが川勝知事の姿であろうことを、どのメディアも捉えていない。

 

「メディアの裏読みが出来ていない」とは、正にこの事ではないだろうか?。

 

リニアの一連を巡って、愛知・神奈川の知事が、断続的に川勝知事を批判しているが、自分達がJR東海からお手盛りされてる利権と無縁の静岡県の現状とを図れば、そうした批判は出来なくなるはずだ。いま一度、自身の立場を弁えてみるがいい。