今から30年前、大学時代の友人が旧ソ連を一か月に渡って旅して来た。

 

当時の指導者「猿バチョフ」ことゴルバチョフによる「ペレストロイカ(トロとイカが食い放題と言う意味に非ず)」が進んだとはいえ、「旧ソ連旅行」は「月旅行より難しい」と言われた時代だった。

 

今日、外国人が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)へ旅行の際、必ず随行員(要するに政府の監視役)が付きっきりで、自由行動は一切出来ない。旧ソ連も「ペレストロイカ」以前は北朝鮮同様個人旅行はご法度。ウラジオストック・チェルノブイリなど「外国人立ち入りオ・コ・ト・ワ・リ」という「秘密都市」が、ゴロゴロ点在していた。

 

友人が旧ソ連を旅したのは、チェルノブイリ事故から4年後、つまり1990年だった。シベリア鉄道の名物列車「ロシア号」の出発地ウラジオストックで、友人は使い物にならなくなった原潜が港中にプカプカ浮いてるのを見て驚いた。原潜の写真を撮っても、友人は憲兵に突き出されることはなかった。

 

モスクワに着いて友人が驚いたのは、市中の一般市民向け商店・配給所の物の無さと、外国人向け宿泊施設での物資の豊富さのギャップである。配給券は持ってるらしいが、何時まで経ってもコメ一粒も貰えない市民と、ホテルの中では1ルーブル出せば、さっさとコカ・コーラが出て来る世界の差。驚くのも無理はない。「猿バチョフ」は、一般市民を犠牲にして、資本主義の口裏に乗ってしまった訳だ。その時の市民の恨みが、ウラディミール・プーティンへの支持と繋がってると解れば、今の社会情勢が上手く見えてくる。

 

そんな、友人が旧ソ連で見聞きし驚いた世界が、今日本で現実化しようとしている。安倍政権による売国政策・・・いわゆる「アベノミクス」によるインバウンドだ。一昨日あたりから、各メディアがこの点を問題として突き始めている。今朝もヤフーニュースで、福島県喜多方市の3千円ラーメンが話題に上っていた。

 

牛の串焼き5千円(豊洲千客万来)

ラーメン一杯2千円(北海道ニセコ町)

 

その一方、今朝の時事通信配信のネットニュースによると、日本国内の生活保護申請者数が4年連続で増え、23年度の申請件数は25万5097件に上ると言う。単純計算で、日本国民の約500人に一人が「生活保護」を受給する異常さ。

 

これはまさしく、友人が旧ソ連で見てきた歪んだ社会構図そのものではないか。

 

行き過ぎた資本主義の鵜吞みにより、旧ソ連は91年解体する。いわゆる「ハゲタカ」の格好の御馳走となった旧ソ連。いま、プーティンの手により少しずつその是正はなされようとしているが、国家崩壊にまで追いやった超格差社会の是正にまでは至っていない。

 

日本では、こうした事に何ら気付かず「神様・仏様・外国人様」状態である。コロナ禍で、インバウンド程あてにならないという事を忘れてしまったのだろうか?。無理もない・・・「日本人」ほど過去を振り返らず・忘れやすい「快楽人種」は、世界中どこを探しても「日本人」だけしか該当しない。

 

「国家崩壊」で幕を閉じた、旧ソ連のインバウンド。果たして日本は・・・言葉にするに恐ろしい。その行方は各々の想像という事で。