都内の駅やタクシー乗り場で良く見かけるポスターに「STOPカスハラ」と言うものがある。私が乗る営業車にも、助手席後部に乗客から見える位置で「STOPカスハラ・車内録画中」と黄黒の毒々しいステッカーが貼ってある。

こうした訴えが広がりだしたのは3~4年前から。公共交通機関の現業部門で、女性の進出が目立つようになってからだと言う。性的誹謗中傷の発言を繰り返し受けたり、外国人観光客からしつこく「携帯番号を教えろ」と迫られて、据置の警報ブザーを押して警備員を呼ぶ騒ぎになるなど、騒ぎが絶えない。

最近、JRのグリーン車の社内でサービスをする女性の「グリーンアテンダント」に男性が混じって来るようになった。聞けば、2~3年前に女性アテンダントが、密室状態に近いクリーン者の中で、男性乗客に艇的暴行を受け、それ以来「抑止力」の意味合いを込めて「男性グリーンアテンダント」を稼働させているそうだ。

こうした輩の大半が、飲酒による「酔客」として騒ぎを引き起こしてる例が多かったが、最近になって「素面の状態で突然キレ出す」タチの悪い輩が急増している。

最近聞いた話だが、都内でタクシーに乗込んだ乗客が「俺の好みの乗務員ではない」と何癖を着け、後部から乗務員座席を蹴り上げ、果ては運賃支払いを拒否し「警察を呼ぶぞ!」と威嚇したところ「タクシーセンター(陸運局)に通報する」と写メを撮って逃げ去った事例を聞かされた。あきれる限りである。

我々タクシー乗務員にとって「ヲマワリ」より怖い「タクシーセンター」(陸運局)。車内録画が殆どのタクシーで行われるようになった今でも「通報=タクシー側が悪い」とされ会社は罰金を、乗務員は懲戒処分を受け乗務停止となるか、中小当たりの乗務員は退職に追い込まれる。

だが数年前、大手電機会社の「お客様相談室」への消費者からの暴言電話を巡り、何でのカンでも「お客様第一は危険」として「カスタマーズハラスメント・・・つまり『カスハラ』」と言う言葉が生み出され、特に矢面に立たされる公共交通機関で、その防止と「やれば問答無用で警察沙汰になるぞ」という威嚇も意味を込めて、広報活動が始まった。

メーカーの「お客様相談室」報道機関の「視聴者センター」にも、毎日数え切れない位の罵詈雑言電話が掛かっている。こうした部署では、警察側の指導を受け、電話の逆探知機能や明らかに「カスハラ電話」と解った場合、警察と連携し「カスハラ電話」を掛けている現場に踏み込んで、被疑者を検挙する取り組みが続けられている。

かつて三波春夫が「お客様は神様です」と持ち上げて事があるが、「カネを払ってやってるんだから何をしても勝手」というとんでもない思い違いをさせてしまっている。

お客様・視聴者が、神様だと思い違いしないで欲しい。最低限のデリカシーが無い人間にまで同一サービスをすると言う考え方は、間違いどころか常軌を逸する。¥