無計画に進められている日本社会のデジタル化を背景に、近い将来日本国内で電力不足が起き、3.11の反省をもとに進んできた再生エネルギー活用が取り止められ、禁句とされてきた「原発再稼働」「石炭・石油火力発電所の新増設」が現実味を帯びているという衝撃的な記事が、一昨日の毎日新聞・朝刊一面と三面に踊った。

 

いま、デジタル化の陰の主役と呼ばれるDC(データセンター)の建設稼働が急ピッチで進められている。毎日新聞一面では、DCの建設が急ピッチで進む千葉県印西市の様子を伝えている。大和ハウス工業を始めグーグル等が、2025年以降の本格稼働を目指して建設を急いでいるそうだ。

 

DC(デジタルセンター)とは、一口で言うと「データサーバーの建物版」だそうだ。電気を食いまくるデカいサーバーが、無秩序に千葉のど真ん中で次々建てられようとしている。驚くべきことは、グーグルやℕTTデータ等のIT企業は、DCの全体概要について、毎日新聞の取材に「非公表」を貫いたという事。ある意味恐怖を感じざるを得ない。

 

私は以前「デンキは余っている。何故に原発再稼働や企業活動の延長を行うのか。」と疑問を呈した。しかし、今建設中のDCは、我々が3.11で反省した舌の根も乾かぬ内に「デンキに頼らない生活」を目指した日本国民の決意を、根底から否定しようとしている。

 

毎日新聞取材によると、東京電力PG(パワーグリッド=配電・営業担当の別会社)管内での、新設契約電力は、2024年度(予定見込み)が58万kWだが、2028年度予定は10倍近い522万kW。2030年度見込みは700万kW。その約4割が印西地区に集中してる。慌てた東京電力は、印西市近郊に100kW対応の第一次高圧受電変電所の新設を決定した。

 

だがこうした問題は、何も首都圏だけではない。台湾の大手半導体メーカーが進出する熊本では「一般向け電力の確保がむずかhしくなってる」という噂が流れている。九州電力では、一部再稼働している薩摩川内原子力発電所に加え、佐賀県の玄海原子力発電所を再稼働させないと、台湾メーカーが本稼働する2030年以降、一般向け配電に制限を設けないと対応出来ないとする九州電力の内部資料が漏れ出し、九州全域で不安の声が広がっている。

 

また北海道のニセコ地区では、海外観光客向けの宿泊施設や観光施設で、無計画に大容量の冷暖房設備・音響設備が導入されたため、地区全体がブラックアウト(大停電)の危機に晒されている。地区供給量を100とした場合97~99が連日続いているそうだ。北海道電力の関係者は「苫東厚真地震の時に起きたブラックアウトの状況が、ニセコに迫っている。」と警告する。

 

こうした状況を見て、果たしてIT化は日本国民を幸せな未来に誘うとは到底考えられない。3.11の反省から「エネルギーの過剰消費を見直す」動きは一体何だったのか?。単に「事情が変わった」とご都合主義で、話がすり替えられてしまうのか?。

 

ITばかりに縋り過ぎると、やがて「あ痛てー」と報いを食らうのではないか?。