日本に核武装は必要か?
田母神氏など、一部の保守派や右寄りの人から、核武装すべきだという話がしばしば聞かれます。
私も当初は、中国の脅威に対抗するには、核武装はすべきであると考えていました。
しかしながら、中国人民解放軍の将軍が「核は使える兵器」との見解を示したことで、その考えに懐疑心を抱きました。
そこで現実的に日本が核を持った場合、本当に中国の脅威に対抗できるのか、自分なりに検証してみたのです。
まず日本も中国と同じレベルの核を保有していたと仮定して、実際に打つ打たないの話になったとします。
そのとき我が国ではまず、議会で民主的手続きの元、打つか打たないかを決めます。
しかし、中国にはその民主的手続きは不要ですから、打つか打たないかは、中国共産党の独断と偏見で決めてよいわけです。
この地点で、政治的には、日本は圧倒的に不利な立場に立たされます。
通常、先進民主国家では、核はあくまで使えない兵器であって、そこが前提の抑止力なのです。
それは民主的手続きで国民が核を打ち返されるリスクを背負わないからに他なりません。
これは今後、日本で独裁政権が生まれない限り、まず優位に立つことはないでしょう。
そしてもう一つ、地政学的問題です。
ご存知の通り、日本は極めて人口密度が高く、東京に核を落とされればひとたまりもありません。
しかし中国やロシアなど広大な国土を持つ国にとってみれば、一発程度の核では、致命傷にはなりません。
同時に打ち合いをしたと仮定しても、先に国が無くなるのは、日本の方なのです。
このように、政治的にも地政学的にも、同じ核兵器を保有していたとしても、圧倒的に日本が不利であることは間違いありません。
また、我が国は原発さえも動かせない原子力アレルギー国家であり、唯一の被爆国でもあります。
このような背景や現実を踏まえると、日本が核武装をするというのは、机上の空論と言わざるを得ません。
また国際的にはIAEAなどの離脱や国際社会からの孤立など、リスクも伴います。
そこまでして核を持ったとしても、先に述べたように、政治的、地政学的な不利は変わりませんから、日本が核保有するというメリットはほとんど皆無なのかもしれません。
さらに現実に照らし合わせれば、中国が日本と全面戦争を行うというのも、考えづらく、現状では、中国は日本の島(尖閣など)や海域を抑えたいだけであって、いうならばシーレンと資源目当てなわけです。
当然、そこに対抗するためだけに、日本が核を使うことが出来ないのは明白であって、これもまたあまり意味が無いと言わざるをえないのです。
では今後、どうするべきか?
現実の擦り合わせをするのであれば、核議論をしながら(もちろん、核の研究もすすめ)、通常兵器をしっかりと強化することが先決ではないか、そう私は考えます。
また、それら通常兵器を活用できる法整備も必要になりますし、それに伴う憲法改正も必至でしょう。
当然、それら法整備の根幹は、ネガティブリストでなければなりません。
現在の安倍政権が進める、集団的自衛権のような、ポジティブリストでは、相手に全て手のうちを見せてしまうことになるからです。
このように、本来ならば安全保障はネガティブリストでなければならないわけで、そこをきちっと法整備できるかも大きな鍵になると思われます。
それらができてもなお、脅威があるとなれば、そこで始めて核保有という伝家の宝刀を抜くという選択も出てくるのかもしれませんが、そうなったときはどちらにしても末期であるでしょう。
これらを踏まえれば、核を持っていようが持っていなかろうが、大した差はないように思えるのです。
ただし、いずれはですが、「核は無いよりはまし」、くらいな効果が出る時がくるかもしれませんが。