プーチンを知る! | ひより

プーチンを知る!



近年、これほどまでの大きな革命と崩壊を繰り返した大国は、ロシアを抜いて他にあるだろうか。



ロシア帝国から、ロシア革命によってソ連が誕生、ペレストロイカに始まった共産主義ソ連の崩壊、それによって否応無しに受け入れたグローバリズムによって生じた格差と社会混乱に加え、NATOの東方拡大によるCISの分断。



それらによって、ロシアはその国体を維持する限界点に達していたと言っても過言ではないだろう。



革命とその崩壊は、フランス革命を例に出すまでもなく、国家を破壊し、歴史を断絶し、そこで生きる国民や、国家のレジティマシー(正統性)を失わせていくものだ。



それを近年、まざまざと体感したのがロシアと言えるだろう。



そんな崩壊寸前で、宙を彷徨うロシアを救ったのが、ウラジミール・プーチンだ。



プーチンは遠心的に崩壊しかけたロシアをまず立て直す事から始める。



その中でも最大の懸案事項だったのがチェチェン問題だ。詳細はここでは避けるが,プーチンはそこを解決すると、イラク戦争を契機にアメリカとの関係改善に乗り出す。



また、資源利権を独占していた財閥(オリガリフ)を国外追放し、事実上、資源企業を国営化し、国家の戦略軸に置き、同時に外貨準備高を増やしていく。



これによって、激減した軍事力だけに頼らない国家戦略を組み立てる事が出来るようになったと同時に、過度に進んでいた格差や債務に歯止めがかかる。



もちろん、そんな力を再び得始めたロシアを欧米、特にアメリカが指を加えて見ているわけもない。



彼らはウクライナ問題に端を発した一連の制裁と、サウジアラビアを巻き込んだ原油安によって、ロシアを追い込んだ。



しかし、プーチンはそれも逆手に取って、自国の農業を保護し、ドルに依存しない国家体制へと移行させている。




またクリミア問題だが、一連の日本の報道では、プーチンがクリミアを奪い取った悪魔のように報じられているが、彼らは、ロシアの歴史的背景も文化や宗教や民族間の問題をまるで理解していない。




そもそもロシアの起源は、「キエフ・ルーシ」と言われている。キエフというのはウクライナの現在の首都である。そこからも想像力ある読者の皆様ならお分かりいただけるだろう。



またクリミアも様々な諸事情によって(ここでは詳しくは書かないが)、ウクライナに属してしまっただけで、歴史上、誰が考えてもロシアと言っても過言ではない。



またクリミアの住民自身も、国民投票の支持率の公正性は別にしても、多くの住民はロシア系で、ロシアへの帰属意識の高い住民たちであるし、なによりクリミアは、黒海に面したロシアの重要な軍事拠点であり、安全保障の要である。




それをウクライナの違法な、マイダン革命によって脅かされただけだから、それでプーチンが黙っていられるわけがない。



国家の安全保障と国益を第一に考えるのが政治のリーダーの役目であるとするならば、プーチンは瞬時にその役目を果たした事になる。※結果としてはロシアの孤立を招いたことも否めないが。



そんなプーチンの政策の根本にあるものは、宗教的観念と、歴史、文化、伝統に根付いた保守思想だ。



なぜ彼がこれほどまでに、そういった歴史や文化、伝統、宗教を重んじるのか。※もちろんそれは単純な懐古主義ではない。むしろロシア人のアイデンティティーと関わるものだ。



それを語るには、先のロシア革命を初めとする国家の歴史分断による国家崩壊を経験しているというのが大きいだろう。



言い換えれば、プーチンだけではなく、ロシア国民が、国家の正統性というものを重んじなければ、安定した経済、社会を構築出来ないと身にしみて理解しているということだ。



それは社会実験的な改革によるレジュームチェンジを繰り返した結果に、国民が疲弊し、急進的よりも漸進的、欧米的自由よりも適度な規制の中での自由、そういったものを好むようになったのだろう。



そしてその代表者がプーチンであるとするのならば、ロシア国民の多くが、対外、内的強硬姿勢を取り続けるプーチンを支持するのも頷けるだろう。




またプーチンを語る上で、なぜプーチンが親日家なのかも重要だ。柔道家であり、礼と節と伝統を重んじるその姿勢はどこから来るのか?




この辺りを詳しく知るには、参考文献の「プーチンはアジアをめざす」下斗米信夫氏の「素顔のプーチン」を読んで頂きたいが、簡単に言えば、プーチンの宗教観、価値観と伝統的な日本人の価値観が極めて親和性が高いというのが一点。



もう一点は、ロシアの非ヨーロッパ、非カトリックを特徴とした人々によるユーラシア主義の影響だ。


ヨーロッパの価値観と一線を画し、独自の民族観、国家観、古義式という宗教観に基づいたそれらは東方、いわゆるアジアとしてのロシアを非常に強く印象づけているし、プーチンが打ち出したユーラシア連合構想もそれが基盤となってる。




今後、確実にロシアはアジアを軸に、外交、経済政策を行うだろう。※現実的には中国の台頭による警戒という安全保障の面も色濃いが。




そうなったとき、日本はどう対処するのか? 



理想主義に基づいた安倍の「価値観外交」が、近い価値観の共有であるとすれば、本来の日本人に根付く価値観は間違いなく、欧米の自由や平等などではなく、確実にロシアの価値観の方が近い。




そんな本来の日露の親和性というものを理解しているプーチンと、未だに自由平等に基づく価値観が云々と言っている自称保守の安倍の外交が、混じり合う時が来るだろうか?




いや、それこそが日本の生きる道ではないのか?と私は思う。



当然、そこには同盟国であるアメリカが黙っているわけはないだろう。今でもウクライナ問題で日本とロシアの関係に釘をさしている。



アメリカを中心に、日露が蜜月になることを望んでいる諸外国はほぼないといっても過言ではない状況なのだ。



しかし、それでも我が国の安全保障、経済や、国体維持に真剣に取り組もうと考えるならば、その壁は必ず打破しなければならないものだ。



安倍政権の憲法改正が、そこまでの長期的展望の元なのか、今の地点ではわからない。しかし、これらは、自立した強い国家でなければ、不可能であることは現状を考えれば明白だろう。






※これらは、プーチンやロシアや日本の今後を語る上では、重要な観点であると私は思う。しかしながら、このようなブログで、私のような素人が綴るにも限界がある。
詳しく知りたいと思う方は、前出の下斗米信夫「プーチンはアジアをめざす」や、西部ゼミナールにて、元ウクライナ大使、馬淵睦夫氏の話をぜひ聞いて頂きたい。