スコットランドの独立運動を考える。 | ひより

スコットランドの独立運動を考える。

昨今、話題になっているスコットランドの独立運動。


確か、明日国民投票が行われるそうです。


そもそもなぜ300年もの間、イギリスの連合国家の一員だったスコットランドがこの時期に独立を持ち出してきたのでしょうか。



北海油田の税収がどうのという話もありますが、根源的にそのことを考えるのであれば、まずは近、現代のヨーロッパの流れを読み解かなければならないでしょう。



その中でも、大きな変化はEUの設立と、イギリスのサッチャーイズムと言われた経済政策だと思います。



元々、イギリスは各地域ごとに自立意識、民族意識が非常に高いことで知られています。


W杯予選なども、イギリス代表ではなく、イングランド代表や、スコットランド代表として参加していることからもその辺りが見えてくるでしょう。


そんな中で起きたEUというグローバリズムは、彼らにとってはより自分たちのアイデンティティーを明確にし、ナショナリズムを高めたのではないか、そう私には映るのです。



さらに、そのグローバリズムと共に彼らをそんな意識に変えたのが、サッチャー首相が行った市場原理主義的な政策でしょう。



これは当時、インフレ(供給量よりも需要が多い)に悩んでいたイギリスにとってみれば、非常に有効な政策であったかもしれません。



しかし、それがそのままスコットランドに当てはまっていたのか? ということを考えた時、一概にもYESとは言えないのかもしれません。



経済的な意味合いにおいてイギリスを日本に置き換えた時、イングランドが関東地方、スコットランドが東北、ウィールズが関西、北アイルランドが四国だとしましょう。



そのとき、関東地方や関西地方が抑えなければならないほどのインフレ状態だとしても、東北地方がそうだったとは限りません。


また関東地方を基準に考えた時、インフレ退治策が、関東地方には適正に利いても、それよりも経済の弱い東北地方には、利きすぎてしまうということもあるでしょう。


このように、サッチャーイズムはそういった地方の状況を加味しない国家政策(むしろ新古典派経済学と言うイデオロギー)でしたので、イギリス全体としては正解でも、スコットランドのような地方にとっては行き過ぎたインフレ退治策であったのでしょう。


その結果、スコットランドでは、自由競争が行き過ぎ、貧富の格差を生み、またイングランドやウェールズとの地域間格差も生じて言ったのかと思います。


もちろん、その後にイギリス政府として、保護や再分配が適正に行われていれば、このような貧富の格差も地域間格差も最小限に抑えることが出来たでしょう。



しかし、サッチャーイズムはインフレという時代背景的に、またイギリスGDP成長というマクロ経済的に成功してしまったが故に、政治家も経済学者も、それが正しい経済学だと誤謬が起きてしまいました。


その結果、市場に任せ、政府の関わりは最小限にという、新自由主義(市場原理主義、グローバリズム、新古典派経済学)が善であり、政府の再分配や財政出動といったものが悪とされるようなイデオロギーが生まれ、適切な保護や再分配が行われなかったのです(そもそもEUが出来た地点でそれが善にすり替わったとも言えますが)




このように、イギリス全体(とくにイングランド)にとっては善でも、スコットランドにとってみれば、まさに悪夢のようなグローバリズムが猛威をふるい、格差は生まれ、歴史や伝統の維持も困難になっていった結果、もう限界とばかりに、元々あったナショナリズムに火がついたのだと思うのです。



しかし、国家の独立というものは、そう容易いものではありません。



国家としての長期的安定などを考えれば、経済、エネルギー、軍事、福祉など、大きな産業もない、資源も決して多くない(北海油田の話もありますが)小さな国で、それらを安定的かつ長期的に行うのは非常に困難であり、また多くのリスクが生じることになります。


もしかしたら数十年、数百年単位で考えれば、イングランドがスコットランドを侵略することもあり得るわけです。



そうなったとき、今度はどんな境遇になるでしょうか? 少なくとも、一度裏切った国を今以上の扱いは決してしないでしょう。


もちろん、私はスコットランドの独立に反対なわけではありません。


むしろ、賛成反対と言うより、近年、世界が進めてきたグローバリズムが、いよいよ、限界に達し、飽和(崩壊)し、逆にナショナリズムが溢れ始めた、と見るべきであると思うのです。


その結果、世界はどうなって行くのか? 国家とは一体何なのか? その先駆けであるスコットランドにその答えがあるような気もします。

それだけに我々も十分に注視し、参考にして行くべきだと思います。