言葉の家臣になりたい。


王よ、その大きな城の掃除婦にやった部屋があなたであることを、誰ひとりとして口にしないなどといったありふれた皮算用は、暗黙、と称せられど、あなたは知れない。


王よ、どうか己がどれほど偉く立派になろうと、王でお在り下さい。あなたはイデオロギーのエンジンなんて大それたモノなんかじゃない。


王よ、どうか家臣の忠義を疑わないでください。王にその資格は有りませぬ。かなしいことですが、家臣こそかなしいのです、などとは、決して。


王よ、生まれ変わりの常の記載の無い辞書のような顔で、あなたは家臣をお守りになられた王であることに変わりはない。


王よ、大きな歌は成し遂げた人間の仕事です。王であるあなたは先日、廊下のように下町を闊歩し、皇太后に叱咤され、今ではそれが大きな歌です。


王よ、あなたのやっつけ仕事に救われた民が必ずいます。あなたの一晩の苦悩の果てにある大不正解にも、命があるのです。どうか知らず、そして忘れず。


王よ、あなたには家臣が、民が、掃除婦さえおります。恥ずかしいことです。しかし王よ、王よ、どうか、王でお在り下さい。