『きのう何食べた?』の中の、

シロさんが風邪をひいたシーンを見て

思い出した。

 

 

 

 

他の人はどうなのかわからないのだが、

私は小学生のとき、風邪をひいても

まったくしんどくなかった。

熱があっても食欲が落ちることはなく、

祖母はお粥を作ってくれたが

(なぜか兄が風邪をひいたら雑炊、

私が風邪をひいたらお粥だった。

私は雑炊が好きじゃないと思っていたらしい)、

実はなんでも食べられた。

(祖母のお粥も雑炊もおいしかったが。)

 

母はもう少し合理的で、

私に何が食べたいか聞いてくれた。

(母はずっとフルタイムで働いていたので、

リクエストされたものを帰りに買って帰るのだ)

たいてい私は、「サラダ巻きとミルクプリン」と

答えていた。

 

酢飯のほうが普通のご飯よりも食べやすかったし、

サラダ巻きは家で作らない種類の巻き寿司だったのだ

(かんぴょうとか椎茸の入った巻き寿司はよく作った)。

太陽のマークのミルクプリンはシンプルに大好物だが、

うちの家ではおやつに甘いものが出てくることが少なく、

風邪のときくらいしか買ってもらえなかった。

 

学校を休むからテレビ(NHK教育)も

たくさん見られるし、

風邪をひくのは楽しかった。

 

 

 

 

中学生のときは、実は風邪をひいた記憶はない。

熱が出たことはある。

自分で言うのも何だが、結構がんばりやなので

(今でこそ自分の限界がわかってきたが、

32〜3歳くらいになるまでは

限界を超えていることを自分で気づけずに、

よく熱を出した)、

人生でいちばん忙しかった中学生のときも

自覚なしにそういう熱を出していた。

 

その時も、めちゃくちゃしんどかった記憶はないが、

素直にずっと寝ていた気がする。

 

 

 

 

高校生になると途端に、

風邪をひくとしんどくなった。

体が重くて起き上がれなくて、

ごはんもあんまり食べたくなくて、

布団のなかではずっと夢うつつな感じで、

頭ががんがん痛い。

 

そういうとき、

思い出すのは母の手の感触だった。

小学生のときに、熱があるかどうか確かめるために

母がおでこに手を当てた時の感触。

 

高校生ともなると、

自分で熱を計りその体温を朝のうちに母に伝え

(仕事に行くので朝のうちしか会えないから)、

アイスノンを冷凍庫から取り出してタオルを巻き、

自分で冷たいタオルを作り、

自分の部屋に行って敷いてある布団(ベッドではない)に

入って寝る、ということになる。

 

それが淋しいということではなく、

そういうものだということだ。

いつの間にかなくなっていく、

当たり前のようなこと。

それに気づいたのが、風邪きっかけだったということ。

それだけのことだ。