5ヶ月ほど前のこと。

私は、後に「スナフキン生活」と呼ぶことになる日々を

送っていた。

 

といっても、

私は本当のスナフキンではないので、

会社に行かなければならないし、

携帯電話にも出なければならない。

大きなトランク(主に会社用の服が入っていた)

を持ち歩いて、

値段の高いホテル

(観光シーズンで、予約をとるのも大変だった)

を転々とする。

いかにも不自由な「スナフキン」だった。

 

その生活はなぜ始まったかといえば

一緒に住んでいた人との恋愛が破綻したからで、

恋愛の破綻は、早急に別居を必要とした。

10年以上付き合っていたことと、

離れたい気持ちが生じたのが主に自分だったこともあって、罪悪感やら辛さやら覚悟やら、

胸のなかにはいろいろあった、気がする。

 

しかしそんなこと考えていられないのが、

スナフキン生活だった。

 

プライベートに起因する支障が、

絶対に仕事に出てはいけない。

また、3月は会社の期末なので、

もうすぐ新しい期が始まるという

いつもに増して大事な時期である。

嵐に巻き込まれないように、でも

嵐の行方は逐一からだで感じるように意識して、

注意深く日々を過ごした。

 

また、一時期実家に帰っていたのだが、

親とケンカをした。

 

そんな中、気になる人も少し絡んできたりして、

(こういう時に限って恋愛にも新風が吹き込んでくるのは

なぜだろう)

スナフキンのテントはもう、

北風、南風といろんな風にさらされて

なびきまくっている。

 

ただ、全部方向の違う風だったことが幸いし、

吹き飛ばずに済んだ気がする。

 

 

4月には家が見つかり、

スナフキン生活は終わりを告げた。

ほっとして、とりあえずベッドを買い、

真っ白いシーツをかけた。

 

 

もちろん今だから思うことだが、

スナフキン生活は自分の性に合っていると

言えなくもないなと思う。

むしろ一種の憧れだ。

何ももたず、

自分で生きていけるだけの能力を共にして、

生きていけたら。

 

自分ひとりで、

孤独に責任をもって生きていけたら、

いいなと思う。