不思議なものだ。


人の、なにげない (なにげなくないかもしれないけど) ひとことで救われるときがある。

なにかをわかることがある。


今日、何があったというわけではなく。

たまたま、思い出した。

今までに 「はっ」 と感じることがあった、言葉たちを。





『涙は、何か言いたいことがあるけど言えないときに、あふれでるもの』

   小学校3・4年で担任だった先生が言っていた。

   この言葉は、耳に入った瞬間から私の心にすみついて、

   私の 「涙」 の意味になった。

   これからも、私の中で 「涙」 の意味としてすみ続けるだろう。


   私たちに真剣に向き合ってくれる先生だった。

   当時、彼女は新卒で、23歳だった。

   考えてみると、今の私よりも若かったのだ。

   あんな言葉をもっているなんて、

   本当にすばらしい人なんだと思う。

   まじめに、真剣に生きているのだと思う。

   素直に、すごいと思う。




『自分の人生じゃもん』

   これは、今年の1月に職場の先輩が言った言葉。

   そのとき、私はいろんなつまらないことを気にしすぎて、暗かった。

   迷っていたし、びくびくしていた。 

   そのとき、たまたまお昼休みに喋っていたら、この言葉が。

   

   これで、割り切れた気がする。

   何をしても、どんな結果になっても、自分の責任だと。

   自分で責任をとるしかないけど、

   自分だけが責任をとればいいのだと思えた。

   気が楽になったし、後悔しないように生きようと思った。





人と同じく、言葉とも運命の出会いがある。

必要な瞬間に、必要な長さで、必要なことを言い当てた言葉。

たぶんそれが、

ぜったいに私の人生に必要だったんだろうと思えるような。


それでも、役目を終えたとばかりに忘れてしまうものもある。

その瞬間に必要だっただけなのだから、もういいや、という感じに。


でも、私はそれでは悲しいと思ってしまう。

よくばりなのだ。


だから、ふと思い出したときに、これからは書きとめようと思う。

いつでもとりだせるように。

楽しい思い出を写した、写真みたいに。