『久しぶり』『久しぶり』
ほぼ半年振りに会ったとは思えないぐらい、何の違和感もなく昔からの友達のように会話が始まった。
2人でカフェラテを飲み、チーズケーキを食べながら、『あっ、先月誕生日だったね。おめでとう』『うん、ありがとう。まぁ、特にめでたい歳でもないけどね』と普通のやり取り。
やっぱり会うと、“あぁ、この彼のまとってる穏やかな空気感が好きだったなぁ”とは思ったけど、彼が好きだとは思わなかった。
あいにく、この日に彼と何を話したのかはあまり覚えていないけど、バイバイした後このまま会い続けていいのか、それとも今日だけで終わった方がいいのか、すごく悩んだことだけは覚えている。
いつも彼とバイバイした後は、必ず私からすぐに“ありがとう”LINEをするのが恒例だった。
彼が高速に乗る前ならすぐに返信があるし、高速に乗った後だと、高速を降りた後に返信がある。
でもこの時は、“このまま会い続けたら間違いなく私はまた彼が良くなってしまうから、このまま会わない方がいいんじゃないか…”という思いが強く、恒例のお礼LINEをできないでいた。
彼とはきちんと別れておらず、私が勝手に会わないようにしようと決めただけなので、彼にとっては付き合ってるままだったと思うけど、会う前にした電話の中で私が言った『好きじゃない』や『私達の関係ってセフレと変わらなくない?』という発言の効果なのか、この日はそういう好意を求めてこなかった。
好きなのかはよく分からなかったけど、やっぱりこのまま終わってしまうのはやり切った気がしないと思い、バイバイしてから6時間以上経った後に『また会いたいです』とLINEをすると、すぐに『うん、また会おうね!』と返事がきた。
私が『もうこの関係を辞める』と言わない限り、彼から離れていくことはないのかもしれないと薄っすら思い始めた。