ブログ「荒野に咲く百合達へ」は中断します。アメブロは退会させて頂きます。
長い間、暖かい応援ありがとうございました。
優しいみなさんのおかげで幸せになりました。本当にありがとうございました。

みなさんの益々のご活躍と幸福をお祈りします。


お世話になりました。



さようなら。
女の子同士としてすっかり打ち解けた私と彼女。

お礼にと宝物を見せてくれた。

私は彼女の宝物を手に取り、光に透かしてよく観察した。

「小さい時に偶然拾ったんだけど、きれいでしょ?多分凄い石だと思って、お守りにしてるの」

私は子供の頃から、宝石が好きで、近所の宝石屋でよく見せて貰ったので、一応どのくらいで売れるかはわかるつもり。
これは多分、ガラス細工職人が作った失敗作のガラス玉。確かにきれいだし、色や柄のセンスはいいが、形が歪んでいるし、色の入れ方に斑がかる。でも、小さい彼女の大事な宝物としては最高だ。失敗作とは言え、世界に一つしかない石。
「多分、これを売ればお家がかえるだろうけど、私の夢を叶える魔法の石だから」

「魔法の石?」

「うん、だってさ。初恋が汚いオヤジじゃなくて、イケメンの若旦那さんなんだもん」

「あのさ、私は一応女だし、名前は百合だけど、その趣味はないから。ごめんね、初恋の夢を壊わして。今夜は男で通そうかとも思ったけど。やっぱり無理」

くすくすと彼女は笑った。

「ううん、いいの。実は一昨日から目をつけてたの。昼に本屋と市場で買い物してるの見て、イケメンだなあって。夜は酔っ払いの喧嘩を止めたり。強くて優しくてかっこいいなあって。ここに住んでるのも知ってたけど、女のひとだとは。凄いびっくりしたけど、なんか面白い」
「それで銀貨で初恋、なわけなか」

「うん、だからお金はいらないよ。お風呂に入れて貰って、美味しいご飯とサングリアをご馳走になったし、でもこの石は夢が叶う石だから、あげられないの」
「別にいいよ。これは凄い石だから、人に見せない方がいいな。どんなにお金持ちでも、王様にもね」

「えっ!やっぱり凄い石なんだ!お姉さん、わかるの?」

「これでも宝石マニアだからね。この石は王様になんか見せたら、王様が働かなくなって国が乱れて大変な事になるし、悪い奴に見られたら、殺されちゃうかも。端切れでお守り袋作ってあげるから、首から提げて大事にするといいよ」

「うっそ、マジ?」
「うん。踊りと剣で食べれなくなったら、お金を貯めて宝石鑑定士の学校に行こうとか考えてるくらいだから、間違いないね」

「どんな石なの?それ」

「空のお城へ連れて行ってくれる、飛行石。この石を大切にしてくれた人を幸せにして、夢を叶えてくれる、世界でも珍しい石だよ」

幼い少女の宝物に、私は夢物語の魔法をかけた。

宿代が勿体ないので、私の下宿先に連れ込んだ。

少女は道中、流行歌を鼻歌で歌うほどの陽気さだ。可愛い声だと言ったら、賛美歌の時間だけは修道院で楽しかったと言った。

「言っておくが、修道院ほど孤児にはいい所はないぞ?」

「若旦那さんは修道院がどんな酷い所か知らないでしょ?あそこにいたら、将来は砂の国のハーレムにとかに売られるんだもん。やることが同じなら、自由に生きたいの。それに、やりたい事もあるの」

さすがは、ガブリエル・カルメンシータだと思った。
確かに、修道院にはそんな所もあると話には聞いていたが、まさか本当だとは知らなかった。
下宿先に帰って、まず先にお風呂に入るように言った。恐ろしく臭い浮浪児だから。

服もかなり汚れているので、何か着替えを探した。昔の私のズボンとシャツしかサイズがなかった。汚れた服は、風呂場で洗う事にした。

「きゃあっ!」

つい無遠慮に風呂場に入ったら、少女は慌てて湯船に潜った。どうやらまだ異性に裸を見られて恥ずかしがるだけの女の子らしい清楚さは持っていたようで、安心した。

「あ、失礼。これ洗濯したらすぐ出るから、お構いなく」

少女はもじもじと湯船で丸くなった。可愛くてつい苛めたくなる。

「女の裸なんて見慣れてるから、気にすんな。毎日見てるのはもっと大人の女の体だし」

「でも、あたし…」
「これから夜は凄い事するんだから、今からそんなんじゃ、もたないよ」

笑いながら、子供をからかう役なんて、きっと初めてだ。

「やっぱり、若旦那さんは恋人いるんだ…」

一瞬ドキン、とした。何気ない言葉が胸を貫く。

「初恋の人には置いてかれたな」

「やっぱり美人?お姫様みたいな可愛い人?なんで別れたの?」

洗濯が終わって風呂場の窓際に干した。
「さあね。少なくとも、今夜は君の初恋の人かな?」

子供相手だと、こんなに普通に大人の台詞が出るのかと自分に驚いた。でも、漫画よりもずっと楽しい。いい買い物をしたなと思った。

「さて、私もお風呂に入るか。汗かいたし、きれいにしないと、可愛い女の子にに失礼だからね」

「えっ…ちょっと、まだ心の準備がっ」
恥ずかしがりながらも、男の裸に興味津々と言ったところだ。
脱衣所で私が服を脱ぐのをちゃんと見ている。

「えっ…女のひと?若旦那さんはおかまなの?」

少女は凄くびっくりしたみたいだ。

「私も普通の女の子だよ?あなたとおんなじ」