女の子同士としてすっかり打ち解けた私と彼女。
お礼にと宝物を見せてくれた。
私は彼女の宝物を手に取り、光に透かしてよく観察した。
「小さい時に偶然拾ったんだけど、きれいでしょ?多分凄い石だと思って、お守りにしてるの」
私は子供の頃から、宝石が好きで、近所の宝石屋でよく見せて貰ったので、一応どのくらいで売れるかはわかるつもり。
これは多分、ガラス細工職人が作った失敗作のガラス玉。確かにきれいだし、色や柄のセンスはいいが、形が歪んでいるし、色の入れ方に斑がかる。でも、小さい彼女の大事な宝物としては最高だ。失敗作とは言え、世界に一つしかない石。
「多分、これを売ればお家がかえるだろうけど、私の夢を叶える魔法の石だから」
「魔法の石?」
「うん、だってさ。初恋が汚いオヤジじゃなくて、イケメンの若旦那さんなんだもん」
「あのさ、私は一応女だし、名前は百合だけど、その趣味はないから。ごめんね、初恋の夢を壊わして。今夜は男で通そうかとも思ったけど。やっぱり無理」
くすくすと彼女は笑った。
「ううん、いいの。実は一昨日から目をつけてたの。昼に本屋と市場で買い物してるの見て、イケメンだなあって。夜は酔っ払いの喧嘩を止めたり。強くて優しくてかっこいいなあって。ここに住んでるのも知ってたけど、女のひとだとは。凄いびっくりしたけど、なんか面白い」
「それで銀貨で初恋、なわけなか」
「うん、だからお金はいらないよ。お風呂に入れて貰って、美味しいご飯とサングリアをご馳走になったし、でもこの石は夢が叶う石だから、あげられないの」
「別にいいよ。これは凄い石だから、人に見せない方がいいな。どんなにお金持ちでも、王様にもね」
「えっ!やっぱり凄い石なんだ!お姉さん、わかるの?」
「これでも宝石マニアだからね。この石は王様になんか見せたら、王様が働かなくなって国が乱れて大変な事になるし、悪い奴に見られたら、殺されちゃうかも。端切れでお守り袋作ってあげるから、首から提げて大事にするといいよ」
「うっそ、マジ?」
「うん。踊りと剣で食べれなくなったら、お金を貯めて宝石鑑定士の学校に行こうとか考えてるくらいだから、間違いないね」
「どんな石なの?それ」
「空のお城へ連れて行ってくれる、飛行石。この石を大切にしてくれた人を幸せにして、夢を叶えてくれる、世界でも珍しい石だよ」
幼い少女の宝物に、私は夢物語の魔法をかけた。