私は持ち前の営業スマイルをにじませた^^。
そして、入居申込書の捺印欄を指さしながら、お客様を見つめた。
「外国籍の方は、印鑑は必要ありません。 サインでいいですよ。^^」
お客様は、森 泉さんを2~3倍濃くしたような、ホリの深いローマ美人だった。
この森泉さん(仮名)は私の発言を聞くと、待っていましたとばかりにドヤ顔を作った。
森泉
「ジツハ、ハンコヲツクッタンデスヨ。」
森泉さんは、鬼の首でも取ったかのように、私にハンコを見せつけた。
それは水晶で出来ていて、お名前はカタカナで彫ってある。
柘植(つげ)製の私の実印よりも、数段立派なハンコだ・・・。
私
「あ~、作ったんですね! これ、私のより立派ですよ!」
森 泉
「フフフ、ハンコ使ウノハ、キョウガ初めてナンデスヨ。」
よほど嬉しいと見える。![]()
ヨーロッパ系の外国籍の方が、ハンコを作っているのは何度か見た事がある。
ハンコは東アジアには多くみられるが、その他の地域ではあまり見かけない。
一体「印鑑証明」などという制度は、日本と台湾(台湾は国連から国と認められてませんが・・。)くらいにしか無いようだ。
外国籍の方を相手に、印鑑を売り込んで商売をしたら儲かるのかもしれない・・・。
そんな邪悪な考えが一瞬浮かんでは消えていった。
それにしても、この森泉さん(仮名)は、大の日本好きとみえる。
胸に輝く金色のネックレス。
そこに、金色の硬化のペンダントヘッドがキラキラと輝いていた。
ローマ人ぽい、濃い人なので、金色のアクセサリーは似合うのだが・・。
しかし、ペンダントヘッドをようく見てみると、なんだか見覚えがある。
私
「あれ? そのペンダント・・、まさか5円玉じゃないですか?」
森泉
「ソウナンデスヨ~、 アナノ空いてイルオカネハ、メズラシインデス。」
私
「でも不思議と似合ってますよ。 日本の人がつけてもあまりよくないですが、ヨーロッパの人がつける方が違和感が無いんですから、面白いですね(笑)」
ふと私は急に、あることを聞いてみたくなった。
私
「ところで、オリンピックの国立競技場のデザイン(最初に出た流線型のやつ)や、盗作の疑いがでたエンブレムは知ってますよね。」
森泉
「シッテマス。 イマ、デザインカンケイノガッコウニ通ってますので、ヨクシッテマスヨ。」
私
「あの二つのデザインは、なかなかカッコイイとは思いますが、ちょっと物足りないんです。
なんだか、日本らしさがどこにもない気がします。競技場の流線型は、斬新さを追求したのかもしれませんが、これぞ日本という感じではありませんよね・・?」
森泉
「ソウ、ソウナンデス! モット日本ポサヲ出スホウガイイトオモイマシタ。 サクラトカ、ゴエンダマにカイテイル稲穂トカ、扇子とか、ソウイウ古典テキナノヲモットオシダスベキダトオモイマス!」
私
「そうなんですよね~・・。私もそう思うのですが、なかなか不器用な国民性でしてね~~。」
と、思わず高倉健ばりの返答をしてしまった><
この後、日本文化の会話になってしまい、契約が少し脱線してしまったのは、言うまでもない・・・。σ(^_^;)
昔から、ヨーロッパのそれぞれのお国柄を表す格言がある。
「デザインはイタリア人に頼んで、その製作はドイツ人に頼みなさい。そうすれば、完ぺきな物が出来上がるよ!!。」
製作をドイツ人に任せるかどうかは別として、デザインはイタリア人に頼んだ方が、いいのかも知れない・・・。
その方が、よほどスタイリッシュに日本の文化を世界に発信できるのかも・・。
と思った瞬間である。
※先日、新しい国立競技場のデザインが2案発表されました。前回のよりは日本ぽさが出ていたので、個人的には良かったと思ってます。 エンブレムにも期待しております。